『サーチ・インサイド・ユアセルフ』を読んで見えた!社員の注意力を高めるGoogle流「マインドフルネス」メソッド

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世界のトップ企業であり、様々な革新的サービスを生み出しているGoogle。同社はいかにして、世界の最先端に立ち続けているのでしょうか?

Googleでは企業の革新を促すために、社員は就業時間の20%をコア業務以外のプロジェクトに使うことが認められています。この20%の時間を使って、元Googleの自己開発責任者、チャンディー・メン・タンが創り上げたのが、マインドフルネスに基づく人材育成カリキュラム。それが、「サーチインサイドユアセルフ(SIY)」です。

Google内で熱狂的に支持されたこのカリキュラムは、今、世界中の企業の人材研修に取り入れられるほど、拡がりを見せています。

本記事では、『サーチ・インサイド・ユアセルフ――仕事と人生を飛躍させるグーグルのマインドフルネス実践法』(英治出版)の内容を参照しながら、Google流マインドフルネスを紹介していきます。

マインドフルネスはEQ(情動的知能)を築く土台


そもそも、マインドフルネスとは何でしょうか? これは本書の定義を引用すると、

特別な形、つまり意図的に、今の瞬間に、評価や判断とは無縁の形で注意を払うこと」(P.51)

とされています。そして、このマインドフルネスは、EQ(情動的知能)を築き上げる土台となるのです。

では、そもそもEQとは一体何でしょう? 本書によれば、

自分自身と他人の気持ちや情動をモニターし、見分け、その情報を使って自分の思考や行動を導く能力」(P.38)

とされています。

この本の中で一番大切なこととして書かれているのが、この情動的な能力は生まれつきの才能ではなく、学んで身につけた能力であるということ。練習の積み重ねで意識的に獲得できるものなのです。

そこで、EQをわかりやすく捉えるために、5つの領域に分けたものを紹介します。

1. 自己認識→自分の内面の状態、好み、資質、直感を知ること

2. 自己統制:自分の内面の状態、衝動、資質を管理すること

3. モチベーション:目標達成をもたらしたり助けたりする情動的な傾向

4. 共感:他人の気持ち、欲求、関心を認識すること

5. 社会的技能:他人から望ましい反応を引き出すのに熟達していること

IQとは似ているようで、異なるEQ。これから私たちは、何を得ることができるのでしょうか?

鍛えて得られる、EQの3つの恩恵


EQ(情動的な能力)は、練習の積み重ねで意識的に得られると前述しました。ならば、それによって得られる効果とはどのようなものなのでしょう。順に紹介します。

1. 優れた職務遂行能力

様々な研究によって立証されている通り、優秀さとは、純粋な知性や専門知識よりも情動面での能力の方が2倍重要とされています。これは、純粋に知的な能力だけで成功が見込まれるエンジニアのような職でも当てはまります。

2. 抜群のリーダーシップ

本書に書かれているデータによれば、卓越したリーダーを際立たせる能力の80〜100%を情動的な能力が占めるそう。有能なアメリカの海軍の指揮官も、情動的な能力が高いことがわかっています。

3. 幸せのお膳立てをする能力

これが一番重要かもしれません。EQには、私達が自分自身の幸せのお膳立てをできる技能を与えてくれるのです。幸せもトレーニングで身につけることができるというのは驚きでしょう。著者はこのおかげで、あまりに自然に陽気でいられるので、“陽気な善人”と呼ばれるようになったそう。

では、こうした効果を得るために、どのような練習を重ねればいいのでしょうか。実際にマインドフルネスを鍛える方法を紹介しましょう。

たった6分間のトレーニングで、会社の「薄い関係」を打破


EQの土台を築くマインドフルネス。これを鍛えることによって、EQにおける自己認識や自己統制、自分が持っている注意力を磨き上げることができます。マインドフルネスを日常生活のあらゆる側面に広げ、暮らしの中でその心を意のままに引き出せるようになって初めて、人生が変わります。

例えば、会社の中で同じ部署で働いているのに、そこまで深く話すことがない。このようなことは、多くの会社で起こりがちです。どこか壁があって、親密にはなれないという状態。こんな状況でも、マインドフルネスを用いて打破することができます。

その方法とはマインドフル・リスニングと呼ばれるトレーニングです。実際のカリキュラムでも、最初にお互いを理解するために行うのだそう。方法は、話し続ける側と、聞き続ける側のペアを作り、3分間話し、3分経ったら交替するというもの。

1. 話し手は、一人で話し続けます。遮られることなく話し、話すことがなくなったら黙っていても構いません。言うことが思いつけば、また話し始めればいいのです。話す気になった時には、いつでも耳を傾けてくれる人がいることを心に留めておいてください。

2. 聞き手は、耳を傾けるのが仕事なので、質問をしてはいけません。顔に表情を浮かべたり、うなずいたり聞いていることの意思表示をすることは構いません。しかし、それ以外は黙って話に耳を傾けます。相手が話し始めるまで待ちましょう。

3. 慣れてきたら、これを日々の生活の中に取り入れます。相手が言いたいことがあるようなら、その分の時間をたっぷりとあげましょう。耳を傾けるときには、注意の全てを相手に向けます。

これによって何が起こるのでしょうか?

このトレーニングの肝は、注意の全てを相手に向けるということです。それは日常生活ではなかなかできる行為ではありません。だからこそ、トレーニングによって機会を設け、相手を見ず知らずの外界の存在から、“親しい友人”へと変化させます。

これは注意力を鍛えるための初歩的な方法ですが、継続することによって、EQの土台であるマインドフルネスが築かれるのです。

どんな場面でもマインドフルネスは活用できる!


乱れがちな注意を、自発的に繰り返し、引き出す能力を与えてくれるマインドフルネス。これを日常生活のあらゆる側面に広げ、暮らしの中でその心を意のままに引き出せるようになって初めて、人生は変わります。

仕事でも自分が思っている以上に、注意力が散漫していることがあるはずです。自分の認識から人の気持ちまで、鮮明で明瞭な理解をすることで、EQを最大元に引き出すことができるでしょう。

本記事で紹介してきたマインドフルネスは、実際にGoogleの人材研修で実践され、今、世界中の企業に広がっています。これを機に、実践してEQを鍛えてみてはいかがでしょうか。

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