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営業上がりの人事コンサルタントが教える、転職者を「その気にさせる」口説き術

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採用面接の場で、こちらへの志望度が高いように思えた転職者に内定を辞退されてしまった……。そんな経験のある人事担当者は少なくないのではないでしょうか。

もしかすると、自社の魅力をアピールするだけに終始していませんか? それだけでは、優秀な人材は他社に取られてしまいます。注意すべきポイントは、応募者が求めるものを見極めることと、会社に好意を持ってもらうことです。これはすなわち、転職者を「その気にさせる」ということに他なりません。

そこで今回は、人を「その気にさせる」プロである営業の方法論を参考に、採用面接における転職者の口説き方をご紹介します。

監修:人事コンサルタント・安達瑠依子
東京都出身。リクルートにて、 企業の人事施策調査研究や学生の意識調査などに従事。
上場を 目指すベンチャー企業での部門の立上げと上場準備と上場を3社で経験。業種はIT, ブライダル、ゲーム制作。専門は人事および総務。経営企画や法人営業、生産管理も経験。2012年の独立後は企業の人事コンサルタントと平行して転職支援(民間および公務員)を行う。2015年3月一般社団法人えるふ転職支援ラボを設立。代表理事。

採用活動は、会社の魅力を売る営業活動

営業

採用活動のゴールは、優秀な人材を見逃さないことではなく、欲しい人材を確実に入社させることです。自社が欲しいと思う人材は、他社も欲しいと思う人材であり、転職市場では優秀な人を取り合うことになります。

営業とは、自分を売ること」という言葉はよく知られています。法人営業では、自社サービスや商品を売るために会社や自分を信頼してもらうことが必須。同じように、面接の場でも、候補者を「見極める」と同時に、候補者の会社への志望度を上げ、面接終了時には「この会社で働きたい」と思ってもらわなければなりません。そこで、営業の経験・スキルが活かせるのです。

実際に、新卒採用の時期は、企業が優秀な営業マンをリクルーターにしたり、採用活動で表に立ってもらうことが多いのです。これは、営業が会社を売り、また、エネルギッシュで人好きのする魅力を振りまき、新卒からの憧れを集める存在だからなのです。

それでは、採用面接の場で活かせる営業スキルを紹介していきましょう。

1. 商材の魅力を伝えて「売る」スキル

営業は常に競合他社と比較される立場にあり、自社の優位性や、また、弱い部分のカバー方法を心得ています。その中でいかに自社製品の魅力を伝えて、“売る”のかというスキルこそ営業の腕の見せどころ。そうしたスキルを活かし、顧客から信頼を得ることで、感謝された営業経験者だからこそ、リアリティのあるプレゼンが可能なのです。

2. 自分の第一印象を魅力的に見せるスキル

営業職は自分の第一印象について研究しているため、初対面の顧客の警戒心を解いたり、ちょっとした雑談で本音を引き出すというテクニックがあり、採用活動で初対面の候補者にそのまま活かすことができます。これは、人事として訓練した人と遜色なく、またはそれ以上に身につけている場合が多いです。

3. 相手の口に出さない「本音」を掴むスキル

優秀な営業職は、顧客の口に出さない気持ちの揺れにも敏感です。顧客が気づいていない潜在ニーズを引き出すのと同じように、応募者の気づかない部分について、「あなたは〇〇についても可能性があると思う。例えば今持っているスキルや経験は……」というように会話ができます。これによって、応募者の気持ちを掴むことが可能になります。

営業未経験で営業スキルを身に付けるには?

転職希望者

店舗があるような企業は、人事に限らず管理部門に配属する人にも現場に最低1年は行ってもらう、というところが多いです。これは、人事にとってとりわけ有効です。もし20代なら自分から志願しても一度は営業部門で経験を積むのがベストだと思いますが、異動はそう簡単にはいかないでしょう。そこで、2つの方法をご提案します。

1つは、短期でも店舗や営業の現場に出向き顧客が商品やサービスを選んでいる場面を見る、もしくはそのサービスを体験している現場を見ること。営業トークを盗むだけでなく、顧客視点で外から会社や商品やサービスを見ましょう。

もう1つは、営業部門のキーパーソンと親しくなること。情報交換や営業でのエピソードなどを常に仕入れ、営業現場にいなくても、その営業マンから新規顧客への売り込み方を仕入れます。特に、営業におけるクロージングは採用における内定受諾と一緒ですから、それまでの顧客のとの駆け引きや、相手の気持ちを探る手法は採用にも応用できます。

営業スキルを生かし、応募者を口説く3つの方法

採用面接
応募者を「口説く」方法は2段階に分けられます。第一に、転職希望者が、転職先に求めるものを「見極める」こと。第二に、会社への好意を持ってもらうことです。それぞれ順を追って説明していきましょう。

1. 応募者が求めるものを「見極める」

有名企業でもない限り、応募者は会社HPや求人広告の内容しか情報を得ることができないため、表面的にしか会社を知りえません。最初から志望度が高いという事は少ないのです。たとえ志望度が高くても、それは仕事内容と給与などの条件がその人にとって好条件だという場合が多く、競合他社からの転職でもない限り、会社を深く知りようがありません。

その前提の上で応募者から本音を聞き出す必要があるのですが、面接では緊張し、間違った事を言わないようにしようと身構える方が多いので、まずはできる限り早く候補者の緊張を解いて素顔が出やすい状況を作ります。相手の話すことにしっかりと同意し、話やすい面接官だという信頼関係を作ることが重要です。

緊張を解いたあとに、応募者が何を求めているのかを聞き出します。応募者によっては給与を含めた条件が一番であったり、やりたい仕事に就けるかどうかであったり、将来の経営に携われるチャンスの可能性だったり、中には風通しが良いかなど社風を重視する方もいます。

その人が今回の転職で得たいものは何かを探ったうえで、「それが当社では得られる」ということを具体的に提示して見せる事が大切です。この判断を間違えると、候補者を逃すことになります。

2. 会社に好意を持ってもらう

仕事内容を含め、候補者の転職条件を満たすことができる提供できる、あるいは、より好条件を提示できる会社は他にもあるはずです。だから、いかに候補者に自社への好意を抱かせるかが重要となります。

▼好意を持ってもらうために
候補者の強みをしっかりと評価し、入社後の活躍をイメージさせる(「あなただったら〇〇を任せられる」「あなただったらきっと当社のこういう課題に取り組んでいただけそう」など)
会社の将来像や方向性をわかりやすく提示し、候補者自身の夢や欲(なりたい自分)を喚起する。
(上場・海外進出・管理職や幹部への登用・女性活用など、会社の発展性を具体的に提示し、それへの貢献をイメージさせる)

転職者は現職や前職で得られなかったものを得るために転職活動をしますが、自分を認めて期待をしてくれる人や会社に惹かれます。なぜなら、次の会社で活躍したいからです。

他に好条件の会社から内定が出ていても、それをひっくり返すことができるのは、面接で出会った人事や配属先の管理職が本気で自分を仲間にしたいと思ってくれていると感じた場合です。こうすることで初めて、転職者に「この人たちと働きたい」と思ってもらえるのです。

そのためには、面接官の人間性を磨くと同時に、会社の方向性や将来性、ビジョンについての熱意を伝える力が必要です。上記の①・②の話をしても関心を持ってもらえない場合は、伝え方が悪いか、その候補者は自社に向かない人だと言えます。

転職者の志望度を高めるために営業スキルを学ぼう!

中途採用の面接は、自社の売り込みの場であることを意識する必要があります。会社の魅力をアピールし、候補者の志望度を高めます。一方で、候補者のニーズもしっかりと見極め、求められているものに応える柔軟性も必要となります。

面接の場で、新しいものを得てもらい自社への転職志望を確固たるものにするためには、やはり営業スキルが欠かせません。今回ご紹介した方法を活用し、より有効な採用活動を実現しましょう。

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