「採用力」を上げるポテンシャルのある人材を見抜く面接手法

【寄稿】ポテンシャルのある人材を見抜き「採用力」を上げる面接手法

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ごあいさつ

株式会社人材研究所代表の曽和と申します。

株式会社人材研究所代表 曽和利光

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■ ポテンシャルを見抜ければ採用力は上がる

面接選考において重視すべきこと、目指すべきことは、いかにして「ポテンシャル」(潜在能力)を見抜くインタビューができるかということです。顕在的な成果だけを見て、採用面接の判断をしている会社は、「誰が見ても素晴らしい」=「引く手あまた」の人材を採りあうことになります。

そうなれば、採用ブランドの高い企業と戦うことが多くなり、必然的に取り逃すことも増えるでしょう。あるいは、その人を採用ができたとしても、「表面的にはすごそうだが、実は潜在能力をよく探ると成長の伸びしろの少ない人物」である可能性もあります。

面接でポテンシャルのある人材を見抜くことができれば、あまり競争が激しくなく、極端に言えば「無競争で良い人材」を確保できるのです。

■ しかし、ポテンシャルを見抜くのは難しい

新卒社員の面接
明確な過去実績を持っていない新卒や若手社会人の話は、抽象的な言葉にしてしまえば、皆同じような経験に見えてしまいます。しかし、皆さんご自身の学生時代や若手時代を振り返っていただければ分かるように、本当は一人ひとり異なるパーソナリティや能力を持っているはずです。それをいかに短い面接の中で見分けるかが、問題となります。

ポテンシャルを見抜くインタビューを行うポイントは、以下の3つです。それぞれ説明します。

  1. 事実を聞く
  2. 分かりやすいエピソードを選ぶ
  3. ディテールを深掘りする

■ ポイント1:事実を聞く

 応募者は面接に臨む際に、事前に「自己PR」(私はこのような人です)と「志望動機」(御社をこういう理由で志望しています)について準備をしてくることが多いため、自由に話をしてもらうとこの2つの話題になることが必然的に増えます。

しかしながら、「自己PR」で語る自らの「強み(弱み)」や、「志望動機」という志向は多くの場合は主観的で抽象的なものです。ところが、若手人材≒ポテンシャル人材は明確な実績上の違いがあまりないため、抽象的な話を聞いても評価することはできません。

ですから、面接において優先的に聞くべきことは、より客観的で具体的な応募者の「過去のエピソード」です。先の自己PRも志望動機も背景には何らかの事実があるはずです。解釈ではなくその事実自体を丁寧にヒアリングしなければなりません。

■ ポイント2:分かりやすいエピソードを選ぶ

話題を振る面接官

<一人よりも集団>

一人でしたことよりも、人と関わりながらしたことの方が、応募者の人となりを知りやすいエピソードです。受験勉強や資格試験、スポーツや楽器の技能の習得などのエピソードは、もちろんその価値自体を否定するものでは決してありません。しかし、一人でしたことの話からは、努力家であることや忍耐強いことなどのことは分かるものの、会社の中でほとんどの仕事がチームプレイであるにも関わらず、そこで使える人との関わりの際の行動特性や思考特性を知ることができません。

<成功よりも苦労>

順風満帆で成功した話よりも、苦労した話の方がわかりやすいことがあります。順風満帆な状況はあらゆることが追い風になっている「ラッキーな状況」であることも多く、成果を生み出すのにその人がどの部分にどれだけ貢献したのかを把握しにくい場合がありますが、何らかの壁にぶつかったり、トラブルを乗り越えたりした話では、明らかにその人の力が発揮されたとシーンの情報を得ることができます。

<好きなことよりも嫌なこと>

好きなことについての話もややわかりにくい話です。人は自分が好きなことについては、頑張るものです。しかし、そこでの頑張りが「好きではないもの」でも再現できるかどうかわかりません。むしろ、普通の人なら嫌がるようなことを、工夫して楽しんだエピソードの方が、会社に入ってからの仕事でも再現性のある特性を発見しやすいと言えます。

<短期よりも長期>

短期間のエピソードよりも、長期間のエピソードを聞くべきです。能力や性格というものの正体は「行動や思考における習慣」です。習慣は、基本的には「長期間に渡る繰り返し」によって成立します。短期間で行われたことは、その人の身についているかどうかはわかりません。長期に渡って醸成されたものこそ、再現性のあるその人の特性と言えます。

■ ポイント3:ディテールを深掘りする

ディテールを深掘りする面接官
選んだエピソードは、「役割」「程度」「動機」の3つの方向から深く掘り下げて、最終的な評価(優先順位付け)に必要なディテールの情報を収集します。

<役割>

「役割」とは、そのエピソードにおける「舞台環境」がどのようなものであり、その中でその方はどんな役割を担っていたかについてです。どんな人と一緒にしたことなのか、どういう風土・文化のチームや組織であったのか、指揮命令系統(上司・部下・同僚等との関係性)はどうなっていたか、業務分担や目標はどのようなものであったか、追い風が吹いていたのか向かい風であったのか、等を最初に押さえておくことで、その人がしたことがすごいことだったのかどうかを判断するベースとなります。

<程度>

「程度」とは、その人がしたことのレベル感、すごさの程度、言い換えれば「難易度」や「希少性」のことです。程度を押さえる基本は、「なんでもできるだけ数字に落とす」ことです。どれぐらいの期間、何人ぐらい関わって、どのぐらい大変な壁を乗り越えて、どのぐらい希少性のあることをしたのか、等について情報を集めます。

<動機>

「動機」とは、そのエピソード内でした行動のエネルギー源、やる気の源はなんだったのかということです。高い成果を上げるには、裏付けとなるエネルギーが必要ですが、それが何から来ているのかを知ることによって、自社の仕事においても同様に成果を上げるべく頑張ってもらえるのかどうかを検討する材料になります。

表面的に顕在化している過去の結果だけに着目するのではなく、以上のような観点から過去のエピソードにおけるプロセスを丁寧に追ってインタビューしていくことで、新卒や若手のようにポテンシャルを見抜かねばならないような相手についても評価できる情報を集めることができるのです。

■ ポテンシャル採用を妨げる「言葉」

部下を叱責する上司
最後に、採用責任者やマネジャー等の上位選考担当者が絶対にしてはいけないことをお伝えします。それは、下位選考担当者に対して、「なぜこんな人を上げて来たのか」と必要以上に非難や叱責をすることです。

もちろん、面接担当者は応募者を合格に(不合格に)した理由をきちんと説明する責任はあります。しかし、上位選考者が必要以上にそれを求めすぎると(あるいは、感情的に叱責するなどすると)、下位選考者は「説明のつく人だけ」を上げるようになり、当落線上にいる応募者や、癖のあるとがった人材、直感では良さそうだが具体的なエビデンスの無い人、などを落とすようになります。このように面接合格率は下がっていき、結果、ポテンシャルのある人材(特にわかりにくい人材)を逃してしまうことになるのですので、ご注意ください。

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