『あなたの隣のモンスター社員』

職歴や第一印象に騙されないで!入社後に豹変する『あなたの隣のモンスター社員』(石川弘子・著)

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モンスター社員と聞いて、あなたはどんな人を思い浮かべますか?
遅刻ばかりする人、周りの迷惑を考えずに有休を取りまくる人、すぐに会社に文句を言う人、同僚にいじめや嫌がらせをする人…。色々と想像できると思いますが、これらのタイプは職場の和を乱す「問題社員」ではあっても、モンスター社員とは言いません。モンスター社員は周囲に毒をまき散らし、最悪の場合は会社の経営を危うくすることもある存在です。

しかし、モンスター社員には一見親しみやすく社交的な人や、高学歴で頭の良い人も多く、入社前に見抜けないこともよくあるのだとか。今回は、社会保険労務士として様々なケースを見てきた石川弘子さんの著書『あなたの隣のモンスター社員』から、知られざるモンスター社員の実態に迫ります。

あなたの隣のモンスター社員
書籍:『あなたの隣のモンスター社員』
著者:石川弘子
発売日:2015年2月20日
出版:文藝春秋

1.モンスター社員の共通点

モンスター社員
常軌を逸したパワハラをする人、同僚を加害者に仕立て上げて悲劇のヒロインを装う人…。モンスター社員にも様々なタイプがいますが、根本の心理には以下のような共通点があります。

・歪んだ自己愛
・プライドの高さ
・自信の無さ
・コンプレックス
・嫉妬
・不満、怒り
・傷つきやすさ
・依存的

親の教育や家庭環境によって物事の認知に歪みがあったり、世の中への不満や自分の人生を肯定できない鬱憤などが溜まっていたりする人が多いそうです。そうした心の闇が、普通の人には理解できない過剰な嫌がらせや非常識な要求となって表に出てくるのでしょう。

また、「常に自分が注目されたい」という自己愛が強すぎる人もモンスター社員に化けやすいと言います。普通の人なら「ちょっとした注意」で済むことも、過剰な「自己否定」と捉えてしまい、逆恨みにつながることもあるそうです。

2.モンスター社員を見分ける方法

うっかり危険なモンスター社員を採用してしまわないようにするためには、どうすればよいのでしょうか。
モンスター社員の見分け方

履歴書は手書きの文字を見る

履歴書や職務経歴書は、印刷されたものではなく手書きで提出してもらうようにと著者は勧めています。筆跡には個性が出るため、その人の性格を想像しやすいからです。

文字の上手い・下手ではなく、丁寧に書かれているかどうかを見ましょう。(ただし、定規で書いたような機械的すぎる文字の人は、重度の完璧主義の可能性が高いので要注意。)また、募集職種に無関係の資格や趣味のことを隅々までびっしり書く人は、自己顕示欲が強い可能性も考えられます。文字や文字数に少しでも違和感を覚えたら、採用には慎重になった方がよさそうです。

職歴に先入観を持たない

中小企業経営者の中には、職歴だけを見て「大手にいたから優秀なはず」などと先入観を持つ人もいます。これは非常に危険です。過剰に期待して好待遇で迎え入れても、後に思ったほどの能力がないことが判明すると、ミスマッチから関係が悪化してその人がモンスター化してしまうことがあります。これまでにどんな仕事をしてきたのか、面接で具体的に掘り下げて質問することが大切です。

第一印象だけで判断しない

面接も「第一印象が大事」とよく言いますが、それだけで即決してしまうのも考えものです。モンスター社員の中には、第一印象がとても良い人もいます。感じがよく素直そうだと思って採用しても、面接時は採用されたいがために本心を偽っていただけで、入社後に自己中心的な性格が判明することがあります。

このようなトラブルを防ぐには、採用したい人材像を明確にすることが大切です。また、面接では深く突っ込んだ質問をする、仕事上の価値観や企業理念にお互いが共感できるか確認するなど、ミスマッチを防ぐ工夫も必要でしょう。

3.万が一モンスター社員を採用してしまったら

どんなに気をつけていても、モンスター社員が入ってくる可能性はゼロではありません。万が一に備えて、必要な心構えと対処法を押さえておきましょう。
モンスター社員

簡単にクビにはできない現実

明らかに非常識な行動を繰り返し、周囲に多大な迷惑をかけている社員がいたとしても、会社が即刻クビにできるわけではありません。労働契約法には様々な制約があり、一方的な解雇は無効と判断される可能性も高いのです。裁判になるとお金と時間がかかり、会社が負けた場合は多額のお金を支払うことになるばかりか、モンスター社員が職場復帰してしまうことさえあります。

まずは相手の話を聞く努力を

モンスター社員の言動には非常に理解しがたいものがあり、「話しても無駄だ」と考える人も多いでしょう。しかし、だからと言って話し合いを避けるのは正しい選択ではありません。たとえありえない理屈や理不尽な要求でも、最後まで話を聞く努力が必要です。

クレーム対応のように、相手が感情的になっている場合は落ち着くまで話をさせ、丁寧に傾聴しましょう。その際のコツは以下の3点です。

・相手の話を受け止める(否定しない)
・うなずき、相槌、繰り返し
・結論を急がない

こうして本人の言い分を一通り聞いた上で、冷静に事実を検討すること。「本人が感じたこと」なのか「客観的な事実」なのかをきちんと整理できれば、モンスター社員に振り回されることもありません。

要求をやむを得ず飲むのは絶対にNG

モンスター社員の対応で最もまずいのは、騒ぎを収めようとして要求の一部をやむを得ず飲むこと。1つでも相手の言うことを聞くと、要求はどんどんエスカレートしていきます。そうならないように、まず会社ができること・できないことを明確に伝える必要があります。

モンスター社員の行動は記録に残す

問題行動を繰り返す社員がいる場合、万が一裁判で争うことになった時に備えて記録をとっておくことも大切です。モンスター社員を解雇するのは至難の業ですが、可能な限り会社側の優位に進めるためにも、問題行動はきちんと記録し、適切な処分を行うべきでしょう。

おわりに

モンスター社員を生まないために
モンスター社員とのトラブルを防ぐために、人事が前もってできることもあります。たとえば、就業規則を整備すること、労働法などの知識をつけること、社員にパワハラやセクハラの研修を行うことなどです。

また、モンスター社員を生まないためには福利厚生を充実させるなどして社内環境を良くし、社員の家族も含めて会社との信頼関係を築くことも大切だと著者は言っています。個性や多様性を尊重しつつ、社員一人ひとりが働く喜びを味わえるような環境づくりこそが、モンスター社員を生まない最大の秘訣なのかもしれません。そうなると、人事に求められる仕事の幅は今後ますます広がっていくと言えるでしょう。

(編集・執筆:サムライト

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