DeNAでは「上司の顔色」なんて見ない。辞めても「出戻り」したくなる理由(後編)

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モバイルゲームにネットショッピングに旅行、メディア事業、球団運営など、様々な事業を展開する株式会社ディー・エヌ・エー(以下DeNA)。進化を続ける同社は、自動運転技術、人工知能、ヘルスケアなど、果敢に新しい事業領域へと進出しています。

DeNA人事担当の手塚園子さんへのインタビューの後編では、一度辞めた社員が「出戻り」したくなるほどの、同社の魅力についてお聞きします。

▼前編はこちら
「人にこだわれ」DeNAに受け継がれる南場氏のDNA。化学変化を起こす人材採用法(前編)

「出戻り社員」が多い理由は、社風と事業が魅力的だから

—御社には一度退社してから戻ってくる、いわゆる「出戻り社員」が多いと聞きます。そういった方が多いのは御社にどのような魅力があるからなのでしょうか?

手塚:大きく分けて2つの魅力があるからだと考えています。1つは「社風の魅力」です。

DeNAでよく使われている言葉として「ことに向かう」という言葉があります。上司や仲間に気に入られるため、評価されるための行動を「人に向かう」だとすれば、この言葉は対局にあります。

「ことに向かう」とは、自分がやるべきことに対して何が一番良いかを判断基準に考えるということです。先ほど(前編参照)も申し上げた「思考の独立性」に近しいものがあります。そういう判断基準がDeNAでは浸透しています。

年次や役職に関係なく、自分が思うことははっきり言う。こうした「ことに向かう」考え方は浸透しているので、それに慣れてから転職して、社内政治が大変な会社に行ってしまうと、その煩わしさを受け入れられないという声をよく聞きます。

社員みんなが「ことに向かう」精神を持っている。腹を割って話せるからDeNAがいい、といって戻ってくる方は多いです。

そして2つ目の理由は「事業の魅力」です。これはもうシンプルで、DeNAでは自動運転車事業やヘルスケア事業といった、将来性のある事業を続々と立ち上げて展開しているので、その点に大きな魅力を感じて戻ってくるという方も多いです。

—出戻りする方は昔から多いのでしょうか?

手塚:多いですね。南場が「いつか戻ってきてね」といって送り出しますし、その後戻ってきてもOKという雰囲気が社内にはあります。

そうした雰囲気からか、何人も戻ってきています。さらに戻ってきた人の中で執行役員になった人もいます。このように、出戻りしたとしても昇進に影響がないので、そういった点を見ても戻ってきやすい会社ではあります。

ただ、会社として「出戻り歓迎キャンペーン」など行ったことは一度もありません。あくまで、結果として出戻りが多くなっているということです。

転職先で培ってきたスキルや経験を活かすことで、DeNAでまた違うことができるかもしれない。「もう一度DeNAに戻りたい」と思ってもらえたら理想です。

DeNAの社会的使命とブランディングを両立するオンラインスクール

—では、具体的に応募者を増やす施策、会社の魅力を伝える方法を教えてください。

手塚:目先の応募者を増やす施策というよりは、中長期のブランディング施策だったり、業界そのものを大きくしていくための施策というところは必ずやるようにしています。

例えばデザイナーの採用の一貫で、UI/UXデザイナー向けのオンラインスクールも行っています。このオンラインスクールの目的は「有能なデザイナーを採用したい」というよりは、デザイン業界を盛り上げていくとか、UIデザインの面白さや魅力を伝えていき、実力のある人をもっと増やしていくというところにあります。

それがDeNAのプラスになるかはわかりませんが、実力をつけた人たちが結果的にどこかでDeNAと関わってくれればいいかなと思っています。日本にUIデザインのエキスパートがもっと増えれば、もっと良いサービスが増えていって、結果的に日本発の素晴らしいサービスが増えることに繋がります。

他にも例えばゲームプランナーを育てる塾「座・芸夢(ざげーむ)」ということもやっています。あとはエンジニア向けの勉強会・セミナーなど、各業界ごとに盛り上げていくような施策や、もっと先を見据えた施策を積極的に行っています。

一部上場企業とはいえフットワークが軽いのが、DeNAのいいところです。繰り返しになりますが、目先の応募者を増やすことが第一の目的ではありません。業界全体がレベルアップして、各分野におけるエキスパートを増やしていくことが私たちの使命ではないかと考えています。

UI/UXオンラインスクールDelight Uの公式サイト http://delight-u.school/

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http://delight-u.school/

上司に知られず「転属活動」できるユニークな社内制度

—社内の制度で評判がいいものがありましたら教えてください。

手塚:キャリア公募制度は評判がいいです。各部署から「うちの部署ではこういう人を募集してます」という求人要項を出して、それを見てその部署に行きたいと思ったら書類応募して面接を受け、合格するとその部署に行けるという、いわば社内転職のような制度です。

しかも書類応募から面接、合否に至るまで上司にはわからないようになっています。異動したいときって普通、上司に希望を出すと思うのですが、それとは別のルートでも異動できるというのがこのキャリア公募制度です。これは好評で利用実績も多いです。

他には、国際学会派遣は毎年やっていて評判がいいですね。海外に出ないと聞けない講演があるので、半年に一回会社の費用で行くことができます。

エンジニアの勉強会やAppleの新作発表が行われる「WWDC」などに参加される方が多いですね。

—家庭をお持ちの方をサポートするような制度もあるとのことですが、活用はされていますか?

手塚:よく活用されています。例えば、弊社は平均年齢が33歳くらいなので、まだまだお子さんが小さい場合が多いんですね。そうした方にとって役立つ、子の看護休暇という、子どもが風邪を引いたときに、医療機関発行のレシートなどを貰えば有給が減らずに休めるという制度もあります。

他には「ファミリーデイ」という、社員が家族を社内に連れてきてみんなで交流するというようなイベントもあります。

また、自宅で仕事ができる制度もあります。支給されてるスマホも内線のアプリがあるので、家にいても内線がかけられます。遠隔対応時にも重宝します。

DeNAはIT系の会社にしては結婚しているメンバーが多いので、このような育児や家庭をサポートする制度を利用している方は多いです。

インターネットの先へ。同じ方向に向かう「小舟の船団」

—最後に、今後の御社の展開について教えてください。

手塚:DeNAは同業他社と比べても、真っ先にインターネットの垣根を飛び越えようとしています。具体的にいえば、自動運転車の領域やヘルスケアの領域です。

会社の規模が大きくなっても、私たちは新しいものを生み出し続けることや、チャレンジし続けることをやめません。DeNAはひとつの大きな船ではなく、同じ方向に向かっている小舟の船団のようなイメージなんです。

それぞれの領域ごとに突出したプレイヤーがいて、みんなが同じ方向に向かっている。この会社の規模で、社員一人ひとりが独立心の強いスタンスを保ち続けているということは、DeNAの強みだと思っています。

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