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Googleにおける採用のおきて9つを紹介!未来を切り開く人事採用とは

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はじめに


「コインが12枚あり、1枚だけ重さの違う偽物が混じっている。天秤を3回だけ使って、偽物を見分けるにはどうすればいいか?」

(書籍『How Google Works 私たちの働き方とマネジメント』より)

読者には、この問題の答えが分かるだろうか?

上記の問題は、Googleが採用試験に出す難問の1つ。

Googleのエリック・シュミット(Google 社の元CEO)、ジョナサン・ローゼンバーグ(GoogleのCEOラリー・ペイジのアドバイザー)、アラン・イーグル(エグゼクティブ・コミュニケーション担当ディレクター)の3人が書いた『How Google Works 私たちの働き方とマネジメント』が発売となった。
(※ 役員情報は2014年11月の情報。)

今回は「採用難」に悩む企業の人事に向けて『How Google Works 私たちの働き方とマネジメント』から分かる、採用のヒントを紹介する。

獲得したい人材には履歴書を見せた

採用人事

企業の採用担当者であるアナタ。

「この応募者は自社にベストマッチする人材だ――……」

アナタが相手と一緒に働きたいと強く思った場合、どのような行動がふさわしいのだろうか。

Googleのジョナサンは獲得したい人材を前にして、採用した社員の「履歴書」を応募者の前で見せた。

ジョナサンはかつて自分が採用した人材の履歴書をまとめてデスクに置いておき、獲得したい人材が現れると、未来の同僚がどんな人々か伝えるためにそれを見せた。
とくに優秀な社員の履歴書だけを選別したのではなく、それまで採用した全員分である。

引用:『How Google Works 私たちの働き方とマネジメント』P.144

日本では、個人情報等の理由から履歴書を見せながら採用活動を行うことは難しいかもしれない。しかし、ジョナサンは「スマート・クリエイティブはまさにそういう集団に加わりたいと思うものだ。だから採用の基準を思い切り高くし、それを世間にアピールしよう」と考えた。

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Google社9つの「採用のおきて」

採用面接

では、Googleは具体的にどのようなことを採用の基準としているのだろうか。本書で書かれていた「Google社採用のおきて」を紹介しておく。

■ 1:自分より優秀で博識な人材を採用せよ。学ぶもののない、あるいは手強いと感じない人物は採用してはならない。

■ 2:プロダクトと企業文化に付加価値をもたらしそうな人物を採用せよ。両方に貢献が見込めない人材は採用してはならない。

■ 3:成功を成し遂げる人物を採用せよ。問題について考えるだけの人物は採用してはならない。

■ 4:熱意があり、自発的で、情熱的な人物を採用せよ。仕事がほしいだけの人物は採用してはならない。

■ 5:周囲に刺激を与え、協力できる人物を採用せよ。ひとりで仕事をしたがる人物は採用してはならない。

■ 6:チームや会社とともに成長しそうな人物を採用せよ。スキルセットや興味の幅が狭い人物は採用してはならない。

■ 7:多才でユニークな興味や才能を持っている人物を採用せよ。仕事しか能がない人物は採用してはならない。

■ 8:倫理観があり、率直に意思を伝える人物を採用せよ。駆け引きをしたり、他人を操ろうとする人物を採用してはならない。

■ 9:最高の候補者を見つけた場合のみ採用せよ。一切の妥協は許されない。

引用:『How Google Works 私たちの働き方とマネジメント』「採用のおきて」P.186

なぜ、Googleは上記のような採用の基準にこだわるのだろうか。

理由は「発想力」であると筆者は考える。

Googleにおける「仕事」は、世間一般の「仕事」の定義とは違う。業績や生計を立てる「仕事」ではない、「情熱」を軸としたパフォーマンスである。

大きな成長の渦中にいるインターネット企業は無数にあり、純粋に優れた仕事をするだけでは時代の変化に取り残されてしまう。そのとき企業の武器となるのは、「発想力」を持った人間が何人いるか、だ。

「チームや会社とともに成長しそうな人物を採用せよ――……」

中小企業で働いていると、自分の成長を自らの手で止める人がいる。「それは俺の仕事じゃない」と自分でリミッターを設定するような人材もいる。しかし、これでは正しい職場環境と言えないだろう。

素晴らしい人材が素晴らしい人材を呼ぶ

本書では「すばらしい人材の集まる会社は、すばらしい仕事を成し遂げるわけではない。さらに多くのすばらしい人材を引き寄せる」とASAモデル理論が紹介されていた。

企業の人事担当者はこの「群れ効果」を知っておかなければならない。なぜなら、この「群れ効果」がプラスに働くか、マイナスに働くか、人事担当であるアナタ次第だからである。

この“群れ効果”はプラス方向にもマイナス方向にも働く。Aクラスの人材は同じAクラスを採用する傾向があるが、BはBだけでなく、CやDまで採用する。だから妥協をしたり、誤ってBの人材を採用すると、すぐに社内にBのみならずCやDまで入ってくることになる。そしてプラスかマイナスかにかかわらず、群れ効果が最も強く出るのは、従業員にスマート・クリエイティブが多く、会社がまだ新しいときだ。この場合、一人ひとりの重みが相対的に高くなる。初期に採用される従業員は社内で目立つ存在だ。また優れた人材が集まる環境では、自然とアイデアが共有され、発展していく。こうした傾向は常に見られるが、会社の初期段階ほどとくに顕著になる。

引用:『How Google Works 私たちの働き方とマネジメント』
群れ効果p.143

化学反応のように「優れた人材が集まる環境では、自然とアイデアが共有され、発展していく環境」は、任された仕事を成し遂げる人間だけで作ることはできない。

人と働く」という前提の元、社員全員が刺激あるステージに立つ役者であると意識する必要がある。

面接が1時間である必要はない

採用面接

◆ 面接時間は30分
著者エリックを始め、本書の中では「ほどんどのビジネスパーソンは『面接』が下手である」と断言している。

しかし、社会人がもっとも磨くべきスキルこそ「面接スキル」であり、これは人事担当者がすぐ得られるものではない。慣れていない人事担当者だと、グダグダ面接をやってしまうケースも少なくない。

Google社が行っている採用手法を紹介しておくと、面接時間は30分と決められている。

面接には少なくとも一時間必要なんて、誰が決めたのか。面接が始まって数分もしないうちに、相手が会社あるいは特定のポストに向いていないことが判明するケースは少なくない。残り時間をムダ話に費やす必要がどこにあるのか。とんでもない時間のムダだ。だからグーグルは面接時間を三〇分に設定している。ほとんどの面接の結果は不採用なので、そこに時間をかけすぎるのは避けたいし、実際に優れた面接官のほとんどは三〇分もしないうちに不採用の判断を下している。応募者が有望で、もう少し話を聞きたいと思ったら次の面接を設定すればいいし、その場で続きをやってもいい(面接後にフィードバックを記入する時間をあらかじめ一五分確保しておけば、それも可能だ)。面接時間が限られているほど、会話の内容は”プロテインたっぷり、脂肪分はちょっぴり”に、つまりムダ話や無意味な質問の時間はなくなる。本質的に議論に集中せざるを得ない(とくに面接官自身が!)。

引用:『How Google Works 私たちの働き方とマネジメント』
面接時間は三〇分に p.167

Googleは時間に制限をつけることで、より濃い面接時間を創造しているのだ。

次に、採用活動は人事担当者だけに閉ざされた活動ではない。可能であれば、社員全員が一丸となって採用活動に関わることができるスタイルが重要になる。

人材は採用して終わりではなく、引き続きクリエイティブな人材を社内へ引き寄せるには、経営者や企業幹部などの人事担当者以外の存在も必要不可欠であると言える。

人事が「難しい仕事」と言われるのは、企業のトップを巻き込む力情熱がないと不可能な仕事だからだ。

社員がスゴい人を1人ずつ連れてくるだけで良い

採用面接人事

とびきり優秀な社員の数を二倍にするのは、じつは簡単だ。ラリー・ペイジがよく言うように、全社員がひとりずつ、優秀な人を連れて来ればいい。会社が採用を完全に他人任せにすると、社員の質は低下する。

引用:『How Google Works 私たちの働き方とマネジメント』
誰もが“スゴイ人”をひとりは知っている p.143

人がいない、どうしよう……とりあえず頭数だけ揃えよう

中小企業の人事にとって大きな悩みが「人材不足」だ。少しずつ大きくなる会社の規模に、人の数がついていかないという現実。

ただ、筆者が人事担当者に気づいて欲しい点は「」ではない。「」を増やしたところで、仕事を教える人間や部下をマネジメントできる人間は限られているからだ。

来年の4月までに3人採用する」などの目標よりも、採用した情熱ある人材が自分の会社で何を学び、何を得て、誰を幸せにするのか。そこまでのビジョン設計を持って採用活動をすることを企業の人事担当者にお勧めしたい。

まとめ

今回は、Google社がやっている採用手法を元に「未来を切り開く採用のおきて」の一例を紹介した。

◆ 応募者のスキルは問題じゃない
Google社で働くとなると、もちろん難問の壁を超える知識が必要なのかもしれない。最高の人材が欲しいと考えるGoogleならではだ。

しかし、応募者が持つ「スキル」と「情熱」を天秤にかけたとき、圧倒的に重要なものは後者の「情熱」だと筆者は考える。

人事の仕事で大切なことは、知識やスキルのある人材を採ることではない。「知っているだけ」で口先しか動かない人は世の中にたくさんいる。

採用した人材が、何を学習し、何を創造するのか……そこまでのビジョンを描き、共に心踊る仕事をできるかどうか。それを考えることが、人事担当者に最も大切なことだろう。

◆ 「どう働くか」と「だれと働くか」

私たちの誇る元同僚、ミシェル・サンドバーグの言葉を引用しよう。「自分の情熱と仕事を結びつけることができるのは、究極の贅沢です。そして間違いなく幸せにつながる道でもあります」。まさにそのとおりだ。仕事に「惚れ込んで」おらず、単に「好き」というぐらいでは、能力を最大限発揮し、成功をつかむことはできないだろう。

『How Google Works 私たちの働き方とマネジメント』情熱と仕事を結びつけるp.197

上記は人に対しても言える内容だと筆者は思う。単に「ちょっと好きくらいではいけない」ということではない。人への「惚れ込み」こそが、大きなプロジェクトを動かす一番欠かせないポイントだということだ。

採用」はリスクもあり、時間もかかる。だが、採用は価値のある投資だとはっきり断言しておきたい。

人事担当であるアナタは、人材に「惚れ込め」るような仕事ができているだろうか?



コインが12枚あり、1枚だけ重さの違う偽物が混じっている。天秤を3回だけ使って、偽物を見分けるにはどうすればいいか?」
▼ 答え

最初に12枚を4枚ずつに分け、そのうち二つのグループを天秤に乗せる。両方が釣り合えば、偽物は秤に乗せなかった3つ目のグループに入っている。その場合、2回目の計測では、測ったばかりの2つのグループから2枚を選び、3つ目のグループの2枚と比較する。両者が釣り合えば、偽物はまだ一度も天秤に乗っていない2枚のうちのどちらかだ。釣り合わなければ、偽物は2回目の計測で天秤に乗せた3つ目のグループのどちらかになる。3回目の計測では、偽物を含む二枚のうちのどちらかを、すでに本物と確認されたグループのコインと比較する。天秤が釣り合えば、偽物は秤に乗せなかったコインだ。釣り合わなければ、天秤に乗せたコインが正解である。
これは易しいほうのシナリオだ。難しいほう、つまり最初の計測で秤が釣り合わないケースは自分で考えてほしい。
(書籍『How Google Works 私たちの働き方とマネジメント』より)



▼ 参考文献
– Google 会社情報-歴史

https://www.google.co.jp/about/company/history/

書籍『How Google Works 私たちの働き方とマネジメント』
著者:エリック・シュミット, ジョナサン・ローゼンバーグ、アラン・イーグル
序文:ラリー・ペイジ
訳:土方奈美
発売日:2014年10月
出版:日本経済新聞出版社
本記事で紹介した内容は実際に書籍を手にとって、より内容を知ってもらえれば幸いです。

(執筆&編集:サムライト
(Photo by Introductie van Google’s display select keywords

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