育児によって「働きたい」を諦めないためのFamily Support制度。グリーの挑戦し続ける働き方を、人事・斧氏に聞く(後編)

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ソーシャルネットワーキングサービス「GREE」と、モバイルソーシャルゲームで急成長を遂げたグリー株式会社。最近では、新たに子会社を設立するという形で、「リノコ」や「LIMIA」や「Lespas」といったライフスタイル関連のサービス・メディアを運営しており、事業領域を拡大しています。

そんな同社は2014年に10周年を迎え、新たなステージへと移行しつつあります。後編でも人事本部マネージャーの斧 佳代子さんに、次の10年も挑戦し続けるための、働きやすさを整備する制度についてお話いただきました。

▼前編はこちら
ミッションを軸に採用基準を作ること。グリー人事・斧氏が語る、ブレずに人材を採用する方法(前編)

10年働き続けた人を表彰する「10 Years Award制度」

—グリーが長く働き続けられる会社ということを、特に体現していると思ったのが、勤続10年目を迎える社員の方を表彰した、10 Years Award制度です。この制度の狙いと効果をお聞かせいただけますか?

斧:10 Years Award制度は、創立10周年に実施された「Refactoring GREE」プロジェクトの一環として、10年間、会社の創立から働いてくれた人を表彰するために作りました。この制度は具体的に何か効果を出そうといった、例えば長く働けるようにしようといったことではないんですね。

というのもこういうスピード感の早い業界ですし、安住していられないっていう考えの人たちが多いので、10年表彰されるから居ようって思っている人はあまりいないと思うんです。

それよりもこの人は10年居たんだなとか、自分も10年居たのかという振り返るきっかけになること、つまりそれまでの自分のキャリアがいかに尊く、大事だったかということに気付くための制度という意味合いが強いです。

—なるほど。そうして表彰されている方を見ることで、10年働くとああいう風に働けるんだなって思えるということですね。

斧:そうですね。弊社では、どうすればあのポジション、例えばマネージャーになるための道筋がわからない、といった声があがることがありました。そういうときに、10年活躍した人がこの人というのが見えるようになると、こういう風になれるんだとか、こういうキャリアがあるんだなっていうロールモデルになる人が見えやすくなるんですね。

だから、10年居たら表彰されるから居ようといったものではなく、あくまでも挑戦し続けるための制度なんです。

育児や介護で「働きたいけど働けない」の障壁を取り除く「GREE Family Support制度」

—そのほかに、次の10年も挑戦し続けるための制度がありましたら教えてください。

斧:育児や介護を行う社員をサポートするための「GREE Family Support」という制度があります。この制度は誰しもが経験するライフイベントであり、キャリアを続けていくうえで、挫折しやすいポイントでもある育児や介護を支援する目的で設立されました。

これは男女問わず対象としています。育児や介護を行う対象は自分の子供や旦那さんはもちろん、自分や旦那さんの母親と父親も含まれています。例えば旦那さんのお母さんに介護が必要になったときに、有給以外に特別休暇が取れたり、家から仕事が出来るといった制度を取り入れています。

—この制度は斧さんが立ち上げられたそうですね。その経緯には、自身のご経験があったのでしょうか?

斧:自分が子供を産んで復帰したという経験はあるのですが、制度を立ち上げようと思ったのは、働きづらいという声があったからなんです。有給休暇がないとか、子育てでなくなってしまったとか、みんなが理解してくれないとか、そういう声を受けて制度を立ち上げました。

声を聞いたり、自分で経験したことからすると、こういったことは決して甘えなのではなく、「本当は働きたいんだけど働けない」という課題があるんです。だから優しくしようという制度ではなくて、障壁となっているものを取り除いて、少しでもスムーズに働ける環境を作ろうということが意図としてあります。

どうすれば子どもを育てていても活躍しやすい会社になるのか、という課題を解決するための制度を設計していったということになります。

—今どのくらいの方がこの制度を利用しているのでしょうか?

斧:実は男性が多いんですよ。それこそ奥さんの妊婦検診に付いて行くときに使っていたり、共働きも増えているので、奥さんが仕事に行って、夫は家で子供を見ながら仕事をしますということで使ってくれる方もいます。

グリーはあまり男女の違いがなく働けていると思うのですが、その象徴だと思いますね。家庭内でもあんまり意識することなく、男性も子育てに参加して働いてくれているんだなということは感じます。

—働きやすい環境が整ったということですね。

斧:そうですね。だからランダムに面談しても、「あの制度助かってます」って言ってくれる男性が結構多いんです。お母さんは言ってくれて当たり前かなって思っていたんですが、そういう男性も多いので、みんな育メンだなあって思って(笑)。

経営陣との距離を縮めるための「役員カバン持ち制度」

—このほかには、社員の挑戦をサポートするための制度はありますか?

斧:役員と1日行動をともにできる「GREE Executive Internship Program」があります。この制度も、Refactoring GREEで始まった取り組みです。それが人事制度として定着したという背景があります。試験的に実施したものも含めて、いま3回目の募集をしています。

「GREE Executive Internship Program(役員カバン持ち制度)」実施中の様子

「GREE Executive Internship Program(役員カバン持ち制度)」実施中の様子

—この制度は通称、「役員カバン持ち制度」と呼ばれているそうですね。

斧:そうですね。ただ、社内では頭文字を取って「GEIP(ジープ)」と呼んでいます。

この制度の目的の1つとして、社員が多くなったことで経営陣との距離が遠くなってしまったという課題に対して、経営陣が何を考えているか、どういった意思決定をしているのかということを包み隠さず見てもらうということがあります。そうすることで、経営陣をもっと身近な存在に感じてもらいたいという思いがありました。

もう1つの目的は、自分たちのキャリアにフィードバックしてもらいたいということです。役員といっても他の社員と同じくらいの歳なので、彼らを見ることで自分を高めるためのヒントにしてもらいたいという目的がありました。

実施してみて、どちらの目的に対しても結果が出ているなという印象です。役員の人間的な部分を見ることができたり、意思決定をする経営会議といった普段は参加できない場に出席することでの学びも多いようです。そこで自分はまだまだと思うという意見が寄せられていて、すごく良い制度になっていると思っています。

—制度に参加した社員のマインドにも、良い影響が出ているのですね。あくまでも挑戦するための働きやすさを実現する制度の数々、興味深く聞かせていただきました。本日は貴重なお話をありがとうございました!

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