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「神山ラボは社員の意識を変え、組織を成長させる手段」Sansan CWO角川氏が仕掛ける働き方の革新。(前編)

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「世界を変える新たな価値を生み出す」をビジョンとして掲げ、2007年の創業以来、名刺管理サービスを通じてビジネスマンの働き方に変革を起こしてきたSansan株式会社

2010年10月には、新しい働き方を体現するため、徳島県に「Sansan神山ラボ」という古民家を再利用したサテライトオフィスを開設。その他にも、さまざまな働き方や制度を社内に取り入れ、業界のパイオニアとして市場を牽引しています。今回は、新しい働き方を推進するために必要なことや組織での取り組みについて、同社CWO角川素久氏にお話を伺いました。

働き方の責任者!?世界に一人だけの役職「CWO」とは。

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—まずご自身の役職、CWO(チーフ・ワークスタイル・オフィサー)について就任の経緯などをお聞かせください。

角川:弊社は「ビジネスの出会いを資産に変え、働き方を革新する」というミッションの実現を、名刺管理サービス事業の領域から進めています。それゆえにサービスを提供する我々自身も新しい働き方にチャレンジしていこう、有言実行するため、社内的な働き方革新の責任者としてCWOに就きました。この名称は、いまのところ世界中でも他に例がないとのことです。

—創業当初からそのビジョンはあったのでしょうか?

角川:創業時からというわけではありません。実は、CWOと名乗るようになったのは2013年6月からで、本田直之さんの『あたらしい働き方』という一冊の本がきっかけでした。

数ある企業の中で弊社の働き方も記事としてまとめてくださっていて、改めて私たちの取り組みを客観的に読んだ時、結構うちもいいことやってるなと(笑)。それを機に、社員の働き方の方針を経営陣で話し合ったんです。

働き方のチャレンジについては、これまでは「エンジニアの生産性を上げる」とか具体的な課題解決のためにやっていました。しかし、それをミッション達成に必要なやるべきこと、と目的を一段引き上げて再整理したんです。このミッションを掲げている間は、企業文化づくりのために経営レベルでコミットしようと思い、そこから私がCWOとして統括するようになりました。

目的は事業の成長。「神山ラボ」は、社員の働き方を革新させる一つの手段と位置づけた。

徳島にある「神山ラボ」の様子は、常に東京本社のミーティングルームにて中継されています。

徳島にある「神山ラボ」の様子は、東京本社のミーティングルームにて中継されています。

—新しい働き方の取り組み。その第一弾として5年前に徳島県「Sansan神山ラボ※」という社員研修や新たなワークスタイルをめざすサテライトオフィスを開設したことは有名ですが、5年を経ての成果や今後の展望などをお聞かせください。

※「Sansan神山ラボ」:2010年より徳島県の築70年の古民家を借り受けたサテライトオフィス。東京と違い通勤によるストレスもなく、心身の働きや創造性などが活発化する「転地効果」で生産性の向上を実現しています。

角川:とにかく私たちには「働き方を革新する」というミッションの達成が、まず前提としてあります。そのために社員の意識を変え、組織を成長させる手段として神山ラボがあるので、取り組み自体を目的化することはありません。

ミッション自体も5年程度で容易に達成できるものではないし、むしろ我々はグローバルレベルで長いスパンでものを考えているので、神山ラボはずっと続けることに意義があると思っています。なので、まず一つの目標は「継続」ですね。

これは、組織が大きく成長したり、社内で変化が起きたとしても続けていきたいと考えています。そのためにも、神山ラボの中を社員が住みやすいように改装したり、仕事しやすいようにワークスペースを拡充したりと、古民家の良さも残しつつ便利な部分も増やすようにその都度手を加えています。

新しい取り組みを継続させるコツは、経営層がしっかりコミットし続けること。

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—多くの企業では、神山ラボのような新しい取り組みを継続することは大変負担になると思うのですが、実際に社内で根付かせるためにはどういった施策や意識づけをされてきたのですか?

角川:ずばり経営レベルでやると決めてコミットすることですね。神山ラボへの滞在は、基本的に希望制なので、放っておくと誰も行っていない状態になってしまいます。ですので、私や社長の寺田が「次、誰か行かない?」と何気なく促したり、田舎で勤務しているという事例を社内外に発信して社会に注目してもらったりと、そういう取り組みをし続けるしかないと思っています。

—開設当初と比べて神山ラボが注目されるに伴い、実際に社員の方の意識変化や生産性にはどのような影響がありましたか?

角川:当初は都心を離れた遠隔地での生産性向上という役割がありました。徐々に注目度が増してさまざまなメディアに登場するようになり、「この取り組みって一体何だっけ?」と、経営陣で一度見直したんです。そのときに、定量的な目的以外にもミッション達成のために経営層が打ち出すべき定性的な目的を付与しました。

つまり、生産性を重視して現場レベルで効果があるからやる、効果がないからやらないというスタンスだと、そのうち廃れていってしまうと思うんですね。ベンチャーの時代はいいけれど、会社の成長過程でこのようなユニークな取り組みは無くなってしまう可能性が高いのではないかと思うんです。

そうするとせっかく蓄積した遠隔地でのナレッジが消えてしまうので、現場レベルではなく経営レベルでしっかり握りながら取り組んでいこうと決めています。

—後編では、角川さんが取り組まれてきた神山ラボ以外の独特な社内制度や、人事採用での見極めポイントについてお伺いします。ご期待ください!

▼後編はこちら
「ノーミーしない?」「テランチ行こう!」Sansan CWO角川氏も利用する、円滑なコミュニケーションを誘う社内制度。(後編)

(編集・執筆:サムライト
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