採用基準はエンタメへの志!エイベックスが新卒採用を廃止して「志一括採用」を行う理由を人事・大橋氏に聞く(前編)

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総合エンタテインメント企業として様々な事業を展開する、エイベックス・グループ。音楽のみならず、動画配信や映像ビジネス、ライヴビジネスを展開し、エンタテインメント領域全般で圧倒的な存在感を示しています。

同社は、新たな音楽の視聴体験として広がり始めている音楽ストリーミングサービスにも、サイバーエージェントと共同でAWAを展開するなど、時代の変化を鋭敏に捉えたビジネスに挑戦し続けています。

テクノロジーの発展によって、いま激動の只中にあるエンタテインメント業界では、果敢に新しいビジネスを展開していける人材が求められています。そうした人材を採用するために、エイベックスが採った方法は、新卒採用を廃止して新たな採用方法をはじめる、というものでした。

前編では、エイベックスの新たな採用方法、志一括採用の具体的なフローや応募者側のメリットなどについて、人事部の大橋 甫(はじめ)さんにお話をお聞きします。

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志一括採用2017

学歴も経歴も問わない。大切なのは“志”

—志一括採用は、どういう採用方法なのでしょうか?

エイベックスが2013年から実施している新たな定期採用です。条件さえ満たせば誰でも応募資格があり、新卒や既卒、就職しているかどうかも問いません。純粋にエンタテインメントビジネスにかける志を重視しています。この志とは、「エンタテインメントビジネスで世の中を変えたい」と本気で思っているかどうかということです。また、一度失敗しても、何度でもトライできるようになっています。

—実施するようになった経緯を教えてください。

大橋:もともと、当社でも新卒採用を20年以上行っていました。集団面接やグループディスカッションなど、いわゆる日本の伝統的な新卒採用の形ですね。でも、この採用方法が今のエイベックスに必要な人材を採るために本当に一番いいやり方なのか、ということを議論してきました。そしてエイベックスが行う定期採用の新しい形として、志一括採用を2013年にスタートしたのです。

—これまで行っていた新卒採用との違いはどういった点になるのでしょうか?

大橋:入社時に29歳未満であれば、学歴も経歴も問わず、エンタテインメントビジネスへの志を選考の中で最も重要視するという点です。もちろん、従来の新卒採用でも志を見ていましたが、現在の選考では、比較的長い時間をかけて行うので、一人ひとりの志を見極めることができていると思っています。

—一人ひとりを見るという点でいえば、ベンチャー企業などで実施しているインターンシップで働いてもらい、その働きを見て採用する、という採用方法は似た部分はあるのではないかと思います。そのあたりは意識されていたのでしょうか?

大橋:そうですね。ベンチャー企業が行うようなインターンシップによる採用の良さは私たちも認識しています。志一括採用はインターンシップによる採用のように応募者と密に接しながら見極めることができることと、新卒一括採用のように多くの応募者と出会う機会が得られること、この双方のメリットを組み合わせた採用方法なんです。

1ヶ月にも及ぶ講義の受講。選考だけに留まらない、人材を「育てる」という観点

—実際の選考フローをお聞きしたいです。

大橋:2015年度までのフローでいくと、まずは挑戦状、いわゆるエントリーシートを提出してもらいます。そのあと1st round(1次選考)があるのですが、昨年までであればグループワークを行いました。ここでは、エイベックスがどんな考え方で意思決定しているか、社員の話を聞いて、「あなたならどう思いますか?」ということを発表してもらいます。ここで参加者の皆さんに感じて欲しいのは、エイベックスが大切にしている思いや考え方なんですね。それによって、エイベックスのことを深く理解してもらうのが狙いです。

2nd round(2次選考)以降は応募者1人に対して面接官が複数人いて、一人ひとり個別にテーマに沿ったプレゼンテーションをしてもらい、選考しています。

プレゼンテーション選考を通過したあとは、エンタテインメントビジネスの講義を受講するという選考があります。2015年であれば1ヶ月間、社内・社外の講師による講義を受けてもらいました。これは長期間の選考になるので、応募者にとっても成長となる機会を提供したいという目的も含まれています。

選考の中に育成の観点を入れているというのは、エイベックスだけに関わらず、幅広くエンタメ業界の中でその方が花開いてくれたら業界全体が底上げされるだろう、という意図もあります。エンタメ業界が盛り上がることは、エイベックスにとってもプラスになります。未来を担うエンタテインメントビジネスパーソンが育っていけばと思っています。もちろんエイベックスに入社してもらうのが一番ですけどね。

—講義ではどうやって選考するのでしょうか?

大橋:出席やグループワーク、課題などで総合的に評価します。応募者は毎週、講義を受けると同時に選考も受けているということになるんですね。

—では受講生の方は結構な緊張感を持ちながら、講義を受けているのでしょうか?

大橋:選考なので、緊張感は皆さん持っていると思います。とはいえ、4次選考で人数が数十名ほどに絞られている中で毎週一緒に勉強するので、応募者同士の絆が深まるんですよ。同じ目標を持って一緒に走っているので、話も弾むでしょうし、選考が終わったあとも繋がっていたりするんですね。だから内定の時点で絆は深いですよ。これは志一括採用ならではのことだと思います。

講義による選考のあとは最終選考として、経営陣に最終プレゼンテーションを行ってもらいます。テーマは年によって変わりますが、新規ビジネスを考えてもらったり、自分のことについてだったり様々です。

選考中に人事と懇親会。向き合う時間が長いからミスマッチを減らせる

—選考期間中に、社員の方と応募者の方で交流する機会はあるんですか?

大橋:ありますね。毎週顔を合わせるので自然と話しますし、受講が終わったあとに応募者と人事とで懇親会を行ったりします。これによって応募者にエイベックスの雰囲気を味わって欲しいという目的で開催しています。

—応募者が見極めるという部分も兼ねてということですね。

大橋:そうです。いま新卒3年以内の離職率が増加が囁かれています。そうした状況の中、少なくとも最初に入った会社は思い描いていた会社だなと思って働いて欲しいんです。どんな仕事でも大変なことはあるし、思い通りになることばかりではありません。それはどの会社でも同じです。それなら雰囲気がわかって入社した方が、「思っていた会社と違う」というようなミスマッチを減らせるはずです。これは応募者にとっても会社にとってもプラスです。

選考に長い時間をかけることで労力はかかりますが、その分、応募者と向き合うことになるので、一人ひとりのパーソナリティをよく理解できるんです。ですから会社としては決してマイナスではないと思っています。

—一方で、応募者にとって長期間の選考は高いハードルとなるかもしれません。応募者にとっては、どんなメリットがあるのでしょうか?

大橋:志をアピールできるチャンスが多いということです。「こういうことがやりたい」といった熱い志は、時間をかけた方が相手に伝えることができると思うんですよ。プレゼンテーションを何度も行うことができるので、物理的にもチャンスは多いです。

また、選考期間が長ければ、会社に合う、合わないをよく吟味することもできます。先ほどの社員と交流する機会があるということもそうですが、会社と向き合う時間が長いほど、雰囲気をよく理解して入社していただけるので、入社後のミスマッチも減るはずです。

—エンタテインメントビジネスへの熱い志を重視する志一括採用。後編では「志一括採用でどんな人材が採用できているのか」という核心に迫ります!

▼後編はこちら
「“憧れ”が消えても本気でいられるか?」エイベックス人事・大橋氏が語る、「志一括採用」で挑む採用の非常識(後編)

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