株式会社ベンチ小島氏
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「人事担当は裏方ではなく、もっと“前へ”出るべき存在」(株式会社ベンチ・代表取締役/小島幸代)

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■小島 幸代(株式会社ベンチ 代表取締役)
米国法人のリクルーティングエージェンシーにてクリエイティブに特化した採用コンサルタントを8年経験した後、2012年に「株式会社ベンチ」を設立。これまでに手がけたキャリアコーチングは1,000名以上、雇用契約は400件以上にのぼる。

近年では、毎年勤労感謝の日に合わせて行われている、働き方の祭典「TWDW」を主催し、連日ブースは満員で埋め尽くされた。採用側と働く側の両面に精通している株式会社ベンチ、小島氏に労働環境を取り巻く変化や最新の採用事情について伺った。

—— 個人単位では週末に他の会社の仕事を手伝ったり、パラレルキャリアと呼ばれるような働き方を志向する人が増えるなど、新しい働き方に対して考え実践されている方が増えてきている印象があります。一方で、採用する側の企業に関していえば、何かしらの変化の兆しや特徴的な傾向など気になっている点はありますか?

小島:現在の国内における採用のイメージというと「裏方作業」みたいに思われる方も多いかも知れません。しかし、どちらかというと裏方ではなくもっと「前面」に出ないといけないって思っているんです。

—— もっと前面に?

小島:はい。というのも、採用担当者の中には「広告を出したら人って集まるでしょ?」というイメージを持っている方が意外と多いんです。でも、実はそこに現実との大きなギャップが存在していて。元々本当に良い人の数ってやはり限られているわけですが、今はさらにその数が年々減ってきているんです。そういうところに危機感を持って欲しいと思っているんです。

優秀な人材は年々減少傾向に

—— 「年々減ってきている」というと?

小島:日本の人口ピラミットを考えてみればわかりますが、今の25〜35歳の年齢層って全体の約一割程度しかいなくて、それが更に年を追うごとに減ってきているという事実があります。さらに転職稼働率とか地域的な問題などを加えていくと、ものすごくパイが小さくなってきているということに驚くんですよね。そういった状況の中で、今で通りに「受け身」で採用をやっていたとしても良い人になかなか出会えないと思うんです。

面白い例として、カヤックさんの“全員人事”というのがりますが、あれって凄いですよね。採用を会社にとって重要な役割の一つとして位置付けていて。「つくる人を増やす」というビジョンを掲げている以上、シンプルにそこへ打って出ているんですよね。

どの企業もそこまでやるべきとは言いませんが、それくらいの勢いを持って良い人を採用したいという気持ちがないといけないかと。どんどん人口が減っていく中で、どう経営体制を維持していくかという点に関しては、本当に人事の役割が肝になってくると思います。

参考:人事部に異動する社員一覧|面白法人カヤック

人事と広報は密接に繋がっている

株式会社ベンチ小島氏02

—— 具体的に「こうした方が良い」ということって何かありますか?

小島:先日お会いした優秀なPRの方が仰っていたのですが、その方はよく人事の人とケンカするそうなんですね。人事が立ち上げた採用のWEBサイトが、会社の印象と違う!ということで。

“人が見る”という意味では、採用のページも広報のページも変わりません。採用だって、今後の経営の肝になる人に入社してもらうために、その人にいかに会社のファンになってもらうかが重要なんです。だから突き詰めると、人事も広報も同じ。双方のPR策を分けないで、会社としての計画を立てていかないといけないと思います。

—— 一般には「人事」と「広報」を分けて考えることが多いように思うんですが。

小島:「採用はこう言っている」、「広報はこう言っている」というギャップがあると、それを見た人も「?」となってしまいますよね。だから敢えてこの2つを分けないアクションの立て方が大事なんじゃないかと思って。

例えば、広報ページの「社長の一言」にしても、その企業に応募しようとしている人は、きちんと見ているはずですよね。だから広報の仕事にも採用のエッセンスがつまっていると思うんです。

優秀な人は、「この会社は自分の成長できる場であるか」「一緒に働く仲間は切磋琢磨し刺激しあえる存在となり得るのか」などの視点を持って、採用や広報のページを見ています。良い人は良い人のもとに集まるので、そこの魅力付けをいかにPRするかが大切なのではないでしょうか。

経営の力にもなり得る人事に求められる役割

あと、人事は会社の顔ですよね。応募者の方が最初に会うのは人事の方なので、あまりにも「…」な人だと、モチベーションや志望度も落ちてしまうでしょうね。

—— それでは採用が成功している企業は人事の存在が大きいと?

小島:そうですね。人事がはつらつとしていて、機動力があって、社長のお尻を叩くくらいの勢いで駆け回っている企業は、採用に力があるなって思います。

そういう人は「自分が採用の架け橋を担う」という想いが強いので、人材育成にまで力を発揮するんですよね。「せっかく入ってきた人には、活躍して幸せになってもらいたい」って。その愛情がうまく相乗効果をもたらし、経営の力になっていくと思うんです。

「候補者と継続的なコミュニケーションの機会を持つ」ことの大切さ

株式会社ベンチ小島03

—— なるほど。それでは部署単位ではなく、採用担当者個人として日々磨いていくべきことといったら何が重要になるでしょうか?

小島:人事とか採用の方って、キャリアカウンセリングの勉強会を開いたり、他にも色々なことをやっていると思います。もちろんそれも大事なことなんですが、さらに一歩進むとすれば、ランチでもいいのでぜひ候補者の方たちと会って話す機会を持ってもらいたいですね。

「優秀でぜひ採用したかったけど、他社に行ってしまった」というような人たちとも、一回きりの付き合いで終わらせずに、コミュニケーションの機会をキープしておくというのが凄く大事だと思います。優秀な人物とせっかく一期一会で出会ったのですから、「縁がありませんでしたね、バイバイ」じゃなくて、その縁を切らずに何回か会って話してみるとか。

それって人事担当者の方にとって凄く良い学びになると思うんです。「なんでうちの会社はだめだったの?」とか、「なんでそっちの会社の方が魅力的だったの?」なんて、ちょっとお茶しながら聞いてみたりして。

—— 確かに!それは大事かもしれないですね。でもこういう話って、誰もが聞けば「なるほど!」と思うと思うんですが、やっぱり実際に実践されている方って少ないんですか?

小島:どうなんでしょうね。同じ話をしていても、受け取り方は人によって全然違うでしょうけど、興味があればぜひやってみるといいんじゃないかなって思います。

例えばDeNAの南場社長なんかは、社長自ら人材の大切さをよく講演していますが、一人の候補者に対して5年間追い続けるとか普通にやっているわけなので。

参考:「5年かけても追いかける」 DeNA南場智子が語る、イケてる人材の集め方 | HRナビ

私も経験者なので分かるんですが、「今日会って、明日採用が決まる」なんてことはまずありません。初めてお会いしてから3ヶ月後、1年後とかまでやり取りが続いて、ようやく…というのが普通です。本当に良い人をつかまえるためには、常にアンテナを高く張り続けて出会いをムダにせず、「この人は!」と思った人との絆を地道に太くしていくことが大事なんじゃないかと思います。

それに、そういうアンテナの感度が高い人や意識の高い人のもとに、また良い人も集まるので。そういう意味でも、この心構えは大切ですね。

—— なるほど。非常に参考になりました!本日はどうもありがとうございました!

小島:ありがとうございました!

(編集:サムライト

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