出戻り採用

サイバーエージェント藤田社長も悩ませる「出戻り社員」採用のメリット・デメリット

LINEで送る
Pocket

Ameba関連事業とインターネット広告代理店事業を展開する、株式会社サイバーエージェント

彼らは「ウェルカムバックレター制度」を2015年2月から導入しました。これは、退職者が会社に戻ってきた場合「もとの待遇以上」の待遇を2年間保証する、というものです。

しかし、この制度を決めた同社の藤田晋社長自身は、この制度導入は正しかったのかと悩んでいるそうです。今回は、この「出戻り採用」の是非を、そのメリット・デメリットを紹介しながら考えていきたいと思います。

実は肯定的意見の多い「出戻り採用」

出戻り採用

実はこの「出戻り制度」を導入しているのは、サイバーエージェントだけではありません。

例として、インフォメーション・インテグレーターのミツエーリンクスでは、「ブーメラン制度」を採用しています。これは、3年以上勤めた人間が1年以上他社に勤務したあとで戻る場合に勤務当時の給与を保証し、かつキャリア部分の上乗せをすることを明言した制度です。また、ソフトウェア開発のサイボウズでも、「再入社パスポート」なるものを作成し、「出戻り社員歓迎」のスタンスを取っています。

人材サービスのエンジャパンが2014年に実施したアンケートでは、「出戻り採用」をしたことのある企業は72%に及び、再雇用をしたことがない企業でも「再雇用したいと強く思う」「再雇用したいとまあまあ思う」と答えた企業が約30%に及びました。

【参考】第93回「出戻り社員(再雇用)について」(アンケート集計結果レポート):エン人事のミカタ by エンジャパン

つまり、多くの企業は人材の「出戻り」に関して、意外にも好意的な印象を持っているという結果がだったのです。では、この出戻り社員は、会社にどんなメリットをもたらしてくれるのでしょうか。

出戻り受け入れの第一の理由は「即戦力」

出戻り採用

このアンケートで「再雇用をしたことがある」と回答した企業のうち、再雇用の理由を「即戦力を求めていたから」と回答した企業は、39%でした。これは、人事の目線から見ると当然の結果ではないのでしょうか。

人材コストとして、最も削りたい部分が「教育コスト」です。しかも、このコストは費用対効果(ROI)の測定は困難なもの。戦略的投資としてコストをかける企業も多くなりつつありますが、企業にとって、人材コストを低く済ませるに越したことはありません。仕事の内容を理解していて教育の手間が省ける「出戻り社員」は、この教育コストを大幅に削減する切り札になるのです。

「人となり」をすでに把握できている

出戻り社員の受け入れ理由について、「人となりが分かっているため、安心だから」と答えたのが38%でした。1位の理由とほとんど変わらない数字です。

人事が頭を悩ませる大きな問題の一つに、「人間関係」が挙げられます。新しく入ってくる社員について事前に分かっていれば、どのような対応が適しているか判断することができます。人間関係による余計なトラブルを回避できるという面では、出戻り社員は非常にありがたい存在なのです。

また現場レベルでも、「どうやって接すれば良いかがわかる」ということは、指導する側の精神的負担を軽減することになります。

他にも、他社で経験を積んだことでスキルアップしている場合や、出戻り社員との情報交換による既存社員のモチベーションアップにつながる場合、さらに、一度やめたからこそ会社の良さを深く理解しているので忠誠心が高いことなど、「出戻り社員採用」には様々なメリットがあるようです。

「既存社員との兼ね合い」が大きな課題

では、「出戻り社員」がもたらすデメリットとはどのようなものなのでしょうか?

第一に挙げられるのが、既存社員との確執ではないでしょうか。

退職者の中には、さまざまな理由で会社を後にして行く人がいます。一度会社を辞めてしまったことのある社員を、経営側の都合で出戻りさせてしまうと、既存社員からは「どうせまたやめる」「勤続している自分たちが軽んじられている」という思いが芽生えてしまいます。

また、出戻りした社員は、辞める前の仕事のやり方に固執してしまい、新しくなっている会社のやり方に順応できない場合もあります。「辞めても戻ってこれる」という空気が広まり、勤続することへのモチベーションが下がるという危険性も生まれてしまいます。

「出戻り社員」はよく選べ

出戻り採用

サイバーエージェントの藤田晋社長は、「ウェルカムバックレター制度」について、「レターを出す対象は厳選する」とコメントしました。これは正しい判断といえるでしょう。

「即戦力になる」「どんな人間か分かっている」などの理由で再雇用しても、既存社員の心中が穏やかでなくなれば、そのメリットも結果的にマイナス効果をとなってしまいます。

既存社員との摩擦を起こさず、会社の新しいルールにも順応できるような人材であれば、再雇用は十分メリットのある採用方法と言うべきです。「出戻り」だからと一概に否定的にとらえる必要はなく、優秀な人材であればどんどん再び迎え入れることもよいのではないでしょうか?

ただし、出戻り社員を受け入れる際には、しっかりと人材を吟味した上で、再雇用をすることを忘れないようにしましょう。


(編集・執筆:サムライト
wantedly_banner

LINEで送る
Pocket