「人にこだわれ」DeNAに受け継がれる南場氏のDNA。化学変化を起こす人材採用法(前編)

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モバイルゲームにネットショッピングに旅行、メディア事業、球団運営など、様々な事業を展開する株式会社ディー・エヌ・エー(以下DeNA)。さらに今では、自動車、人工知能、ヘルスケアまで事業領域を拡大しており、進化を続けています。

また、創業者の南場智子氏は「欲しいと思った人材は、どこまででも追い続ける」と公言しているように、DeNAの人材に対するこだわりは他の企業とは一線を画しています。同社の「人へのこだわり」の姿勢は、採用の現場において、どのように実践されているのでしょうか。人事担当の手塚園子さんに、お話をお聞きしました。

求めるのは、次の化学変化を起こせる「トンガリ」を持った人材

—DeNAが求めている人材とそのポイントを教えてください。

手塚:人材のタイプに関しては、多様性を重視しているので特定のタイプに偏った採用はしていません。ただ、DeNAの社員は必ず持っていなければならない考え方、行動指針に合うかどうかは必ず見ています。私たちはこの行動指針を「DeNA Quality」と呼んでいます。

「DeNA Quality」をもう少し噛み砕いて説明すると、2つの要素に分けられます。1つは「思考の独立性」。これは上司の意見や周りの人の言うことではなく、自分はどう思うのか、目的に対して必要なことはなんなのか、取るべき戦略はなんなのかを自分自身で考える力です。

そして、もう1つは「逃げずにやり抜く力」。どんな課題や難題でも決して逃げずに、必ず成果を出そうとする姿勢、そして最後までやり抜く力です。この2つの要素は新卒・中途問わず、必ず求めているところです。

—その2つの要素を持ちあわせた上で、今、特に欲しい人材はどのような人ですか?

手塚:特に欲しい人材は、突出した才能や経験、スキルがある人、つまりトンガリがある人ですね。そのトンガリはなんでもよくて、とんでもなく頭がいいとか、ものすごくある分野に詳しいとかそういう方でも歓迎です。そうした、その人ならではの強みを磨いてきた人物を求めています。

—なぜトンガリがある方を求めているのでしょうか?

手塚:その理由は、DeNAという会社の生い立ちにあります。DeNAはもともと平均的に伸びてきた会社ではありません。創業当初は赤字続きでしたし、そこから伸びたり踊り場に差しかかったり、というのを繰り返している会社なんです。

その中で常に次の山をどう作りにいくか、今あるリソースを使っていかに次の山を作りに行くかということを考えてきました。そして今あるリソースを使って新しい化学変化を起こせる人に入って欲しいと思っています。

トンガリを持った方は、そうした新しい化学変化のトリガーになる可能性を秘めています。これは職種を問わず求めていることですね。

—今まさに「このトンガリが欲しい!」みたいなジャンルはありますか?

手塚:今、DeNAはインターネット事業の枠を飛び越えて様々な事業を興そうとしています。自動運転車を使ったサービスもその一つですが、中でも今特に必要とされているのは、AIの分野でのトンガリを持った人材ですね。

ただ、AIをビジネスに活かそうと研究開発をしている人は全世界でもごく少数です。採用では、大学院でその分野の研究をしている人とかを採っていきつつ、社内でAIに特化した人材を育てていこうと思っています。

AIに関しては、AlphaGoが囲碁の世界トップクラスの棋士に勝利したことは記憶に新しいですし、Googleや自動車メーカーも積極的に投資しています。今後注目の領域になってくるのは間違いないので、私たちとしても力を入れていきたい分野です。

DeNAとZMPが共同で開発する自動運転車を使ったサービス「ロボットタクシー」の公式サイト

DeNAとZMPが共同で開発する自動運転車を使ったサービス「ロボットタクシー」の公式サイト
https://robottaxi.com/

デザイナーはネットで採る。職種の特性に応じて使い分ける採用ルート

—採用についてお聞きしたいのですが、まずどの媒体からの採用が多いのかお聞かせください。

手塚:各事業部や職種によって大きく異なります。例えば、新卒採用の応募ルートでいうと圧倒的にホームページからが多いですね。

逆に中途採用の方ですとホームページからの採用は下がってきます。弊社ではSNSなどを活用したダイレクトリクルーティングにも力を入れていますので、中途採用では紹介会社さん経由のほかに、ダイレクトリクルーティングも増えています。

またこれも職種によって違いますが、リファラル採用も増えています。例えばメディア事業を行うDeNAパレットでは、これが多いですね。iemoの代表でDeNAの執行役員でもある村田マリが直接声を掛けて採用に至ったこともあります。社員同士の紹介も、他の事業部に比べて多い傾向があります。

—ダイレクトリクルーティングやリファラル採用が増えているとのことですが、そういった採用比率はどのくらいなんでしょうか?

手塚:クリエイター職では2015年度で、約8割もの採用者がダイレクトリクルーティングからの採用になります。あとはクリエイター向けのブランディング施策を行っていて、そこを見て来る方も多いです。

—ブランディング施策とは具体的に何をしているのでしょうか?

手塚:主にイベントです。社員を表に出していくといったことが多いですね。例えば、デザイナー向けのイベントで「UI Crunch」というイベントがあります。創業者の南場、DeNAのデザイナーはもちろん、他社の現役クリエイターを呼んだイベントを定期的に開催しています。

最前線で活躍するデザイナーたちが、UIデザインについて考える勉強会で、毎回非常に人気があります。このイベントを取り上げた記事もバズっていて、記事を見て応募したという方も多いです。

特にデザイナーに関して言えば、職種特性としてエージェント経由よりネットから見て応募してくるという方が多いので、ネットからのマッチングのがしやすかったりします。

そうした職種に合わせたブランディングを展開することで、採用の質を向上しようと考えています。

「UI Crunch」の公式サイト http://ui-crunch.com/

「UI Crunch」の公式サイト
http://ui-crunch.com/

DeNAに根付く「採用のための努力は厭わない」文化

—創業者の南場さんの「採用のための努力は厭わない」といった姿勢は、このダイレクトリクルーティングやリファラル採用でも受け継がれているのでしょうか?

手塚:もちろんです。私はクリエイターの採用を行うことが多いのですが、DeNAに入って欲しい方のリストは毎日眺めていますね。タイミングが合えば声をかけて、関係性を作り続けていくようにしています。

転職のタイミングって人によって違うので、たまたま転職時期じゃないだけ、ということもあります。ご縁のなかった方は終了というよりも、継続的に関係性を作り続けて、どこかのタイミングでご一緒できればというのが理想だと思っています。

日本の転職活動は一度お見送りになるとそこで関係性が終わってしまう、ということも多いんですけど、それはすごくもったいないことです。たとえ今、DeNAに入ってくれなかったとしても、素晴らしい人とは何度もお話できるような関係づくりができるよう心がけています。

新卒で内定していたもののご縁がなく、南場が追いかけ続けて5年越しで中途で入社して、現在SHOWROOM株式会社の社長として経営をしているという者もいます。そうした南場の姿勢は、「人に対してこだわる文化」としてDeNAに根付いています。このDNAは今後も貫いていきたいですね。

▼後編はこちら
DeNAでは「上司の顔色」なんて見ない。辞めても「出戻り」したくなる理由(後編)

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