ミッションを軸に採用基準を作ること。人事・斧氏が語る、グリーがブレずに人材を採れる理由(前編)

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「インターネットを通じて、世界をより良くする。」をミッションに掲げ、モバイルソーシャルゲームで、急成長を遂げたグリー株式会社。最近では、新たに子会社を設立するという形で、「リノコ」や「LIMIA」や「Lespas」といったライフスタイル関連のサービス・メディアを運営しており、事業領域を拡大しています。

採用市場では、新卒・中途問わず人気が高い企業となっており、優秀な人材が集まっています。今回は同社の人事本部マネージャー・斧 佳代子さんに、会社にフィットする人材を採用するための秘訣をお聞きしました。

「ミッション・ビジョン・バリュー」を採用の評価基準にまで落としこむ

—グリーにはスキルや学力の高い、優秀な人材が集まっていることかと思います。これを実現できている最大の理由は何なのでしょうか?

斧:優秀かどうかという基準はいろいろあるかと思うのですが、弊社では求める社員像を明確にして、それに合った人材を採るという採用方法を行っています。そのために、経営理念や行動規範である「ミッション・ビジョン・バリュー(MVV)」からブレイクダウンして、「どういう人材が欲しいか」という解釈まで落とし込み、それに従って採用基準を走らせています。特に新卒採用で実践していて、今後中途でも強化していきます。

MVVを評価基準にすることで、求める人材をブレることなく採用できていると思います。

創立10周年で、ミッションを振り返る機会を設ける

社員全員が持つミッションカード

社員全員が持つミッションカード

—MVVはどのような経緯で作られたでしょうか?

斧:社員が100人くらいになった頃、ちょうど社員同士や、経営陣と社員の風通しが悪くなる時期になったんですね。そこで意思疎通を図るため、グリーが急成長を遂げた頃の様々な成功体験を集めてMVVを作りました。

—社員同士でMVVを確認する機会というのはあるのでしょうか?

斧:ここ1年でそうした場が整備されてきています。というのも、グリー創立10周年のタイミングで、MVVに対する意識が薄れているという話が社内で言われるようになったんですね。ミッションが書かれたカードを社員全員に配っているのですが(上の写真)、一番上にあるミッションはみんなよくわかっていても、それから下のビジョンとバリューがなかなか言えない、認識していないという人が増えていました。

でもやっぱり、ミッションを因数分解したビジョン・バリューって大事だよね、っていう話になったんです。そこで例えば、バリューを一つひとつ分析して、ロジカルって何だろう、スピードって何だろう、クリエイティブって何だろうといった議論を経営陣や部長陣としていきました。

こうして検討したMVVの解釈を、中途採用や新卒採用、さらには人事評価といったものにまで適用して、あらゆることがMVVに基づくよう整備してきました。

VRプロダクトを東京ゲームショウに出展し、高評価を獲得。参加メンバーは社内MVPに

—具体的にはどういった確認の場が設けられているのでしょうか?

斧:例えば、月次・四半期・半期ごとにMVPを決める表彰制度があるのですが、表彰基準はビジョンの中のどれを体現したかどうかになります。それを朝会やキックオフミーティングや総会で讃えるということを行っています。これを続けることで段々とMVVが身近になってきて、グリーらしさが共有できてきていると思います。

—表彰制度では、どういった方が、どういった理由で受賞されるのでしょうか?

斧:最近では、昨年の9月に東京ゲームショウがあったんですけど、そこに向けて今話題のVRプロダクトを開発しました。VR自体はまだ本格的な事業化もされていないのですが、コアになったメンバーが周囲に声をかけ短時間で作り上げたんです。それが結果的に、ゲームショウで高く評価されました。

このプロジェクトメンバーは社内でも高く評価され、MVPを受賞しました。その理由が、VRという新しいテクノロジーに早く挑戦し、完成度の高いプロダクトを作りゲームショウで評価を得たということが、ビジョンの「ロジカル×クリエイティブ×スピード」を体現していると認められたからです。

「もう一度グリーについて考えよう」から始まった「Refactoring GREE(リファクタリング グリー)」プロジェクト


斧:そもそもなぜMVVを見直そうというフェーズに入ったのかというと、ちょうど一昨年の会社創立10周年のときに、CTOの藤本が中心となって「Refactoring GREE」というプロジェクトが始まったことがきっかけなんです。これは「もう一度グリーについて考えよう」ということを掲げて、グリーのいろいろなことを見直していくというプロジェクトでした。

写真は社内報のRefactoring GREEを紹介しているページ。グリーの社内報は社員だけでなく、家族からも「会社がよくわかる」ということで評判が高い。読んでみると納得のクオリティ。

写真は社内報のRefactoring GREEを紹介しているページ。グリーの社内報は社員だけでなく、家族からも「会社がよくわかる」ということで評判が高い。読んでみると納得のクオリティ。


斧:他のベンチャー企業と同様、グリーも最近まで「気合を入れてとにかく走る」という感じでした。人数も増え、事業も多様化する中で「働き方」について見直しの必要性が生まれてきて、MVVの見直しや、そもそもどういう会社にしたいのかという話が出てきたんです。そのときのキーワードが、「社員に長く働いてもらいたい会社かどうか」でした。ベンチャー企業だとこういうことを考えるフェーズはあるかと思います。例えば、サイバーエージェントさんだと「実力主義型の終身雇用」を謳っていますよね。

じゃあグリーはどうなんだろうと考えたときに、「10年働ける会社にしたい」という話になったんです。トレンドで人が出入りする会社ではなく、やっぱり長く働いてもらいたい。少し誤解を生むかもしれませんが、このメッセージは「10年働ければいい」というわけではなく、「グリーも10周年を迎えたね。さあ次の10年も一緒に働こうよ。これからの歴史を作ろうよ」という意味を込めています。

—具体的にはどうやって見直していったのでしょうか?

CTOの藤本さん

CTOの藤本さん


斧:ボランティアベースでCTOの藤本の周りに有志が集まり、自分たちの会社のこういうところを直したほうがいいよねというところをみんなで提案して、グループを作って進めていきました。それを提案した社員同士で、自分たちが前から問題だと思っていたことを話し合っていったんです。

例えば、MVVを見直すワークショップでは何日間かに渡って200人くらい参加して、みんなにとって「これって何だっけ」というのを洗い出して、最終的にまとめていきました。

社員一人ひとりの「会社を良くしたい」という意志が作る、グリーの次の10年


斧:Refactoring GREEは、10年続けてきたこの会社を次の10年はどうしていくのか、ということを考える1年にしたかったという思いがありました。今までだと、会社の制度などを変えないといけないと思っていても、どう変えたらいいかわからないし、自分の主業務ではないから進めるのは難しいわけですね。そんなとき藤本を中心としたプロジェクトが発足したことで、誰がこれを企画するとか、誰が進行するとかいったことを決めていくことができました。

—まさに社員のみなさんが、主体的に進めていったプロジェクトなんですね。

斧:そうですね。みんな会社は好きなんですけど、なんかしっくりこないなっていうものを整えていきました。会社を良くしたいという意思はみんな持っていて、このようにプロジェクトという形で行動するきっかけになったということですね。このプロジェクトによって、会社を変えられそうだと思った人は結構いたはずです。これによってMVV以外でも、社内の様々な制度が作られていきました。

—後編では創立10周年を迎えたグリーが、次の10年も挑戦し続けるための制度についてお聞きします!

▼後編はこちら
育児によって「働きたい」を諦めないためのFamily Support制度。グリーの挑戦し続ける働き方を、人事・斧氏に聞く(後編)

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