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課題解決がCSの本質。全社に根付くメルカリ独自の採用&ブランディングとは?

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国内3000万DLを突破(2016年6月時点)。日本発、グローバルで展開している急成長中のフリマアプリといえば……そう、「メルカリ」を思い浮かべる方がほとんどでしょう。フリマアプリのメルカリを運営する株式会社メルカリでは、実は社員の半数以上がCS(カスタマーサポート)。CSをアウトソーシングしている会社も多い中、内製で運用しています。

その理由は、CSがいちばんお客さまとダイレクトに接し、サービスに対する問題点を感じられる職種だから。メルカリのCSは、ただ「問い合わせに答える」というだけには留まらない、サービスの改善に繋がる重要な役割を担っているのです。

今回はメルカリを支えるCSの役割、そしてCSの採用から紐解く、メルカリならではの採用方法を、CSグループの菅野光憲さん、HRグループの鈴木綾香さんにお聞きしました。

サービスの体験をより良いものに。CSがメルカリの成長を支えている

メルカリ東京オフィスの様子

メルカリ東京オフィスの様子

──CSの採用、そして運用にかなり力を注いでいるとお聞きしています。改めてメルカリのCSはどのような業務を行っているのか教えていただけますか?

鈴木:サービスに関するお問い合わせへの対応を中心に、お客さまのあんしん・あんぜんを守ることがCSの主な業務です。お客さまに安心してメルカリを使っていただくため、問い合わせに返信することはもちろん、規約違反の出品に対して監視を行い、必要に応じて対応をしていきます。全てはお客さまに安心してメルカリを使っていただき、もっと好きになってもらうための仕事です。

鈴木:現在、メルカリのCSは、CX(カスタマーエクスペリエンス)チームと、RM(リスク&モデレーション)チームの大きく2チームで構成されています。CXが問い合わせに返信を行う等のお客さま対応業務、RMは出品された商品やお客さま同士のやり取りを確認し規約違反を見つけた場合には対応を行うという業務を担っています。

メルカリはいま順調に成長しており、お客さまの数も飛躍的に増大しています。それに伴い、多種多様な出品をする方も増えている状況に対応して新しいルール作りにも取り組んでいます。例えば、自動車やバイク、チケット等は、起こり得るトラブルに対応できる体制を事前に整えた上で、販売を解禁するという判断を下しました。

また、創業から1年も経たない2014年4月に、仙台にCSの拠点としてオフィスを構えています。仙台には150名超のメンバーが在籍しており、東京と同様に2チーム体制で運用を行っています。

──これだけCSの体制が厚い会社に出会ったことがありません。なぜ、これほどまでに体制を強化しているのでしょうか?

菅野:弊社のCSが、お客さまの問い合わせに答えるだけでなく、課題を解決し、改善にまで繋げる仕事だからです。弊社ではCSの役割は、大きく2つあると考えています。

1つは、お客さまと最前線でコミュニケーションを取る強みを活かし、あんしん・あんぜんな取引のサポートをすること。もう1つは、お客さまに生じる課題を本質的に解決するために、お客さまの声をサービスの改善に繋げることです。突き詰めると、これら2つのことを通じてメルカリのファンが増えて、いまのお客さまが新たなお客さまを生み出す状態を創り出していく。ということになると考えています。

こうした一問一答だけで終わらない仕事への取り組みは、弊社のCSにとっては自然なことです。メルカリには「All for One(-全ては成功のために)」というバリューがあり、そのための「本質ってなんだろう」ということが社内で頻繁に話される風土があります。「CSの本質が、お客さまの課題解決」であると考えれば、自然とこういう役割になると思っています。

制度の問題点を見つけたCSが提案し、わずか数日で改善!

──「課題を解決する」という仕事をCSでどう実現するのか、教えてもらえますか?

菅野:例えば、お客さまの課題を解決するためには、本当はサービスの改善まで行う必要があるけど、社内の構造上それができなかったりする。こういう壁に直面しているCSは多いはずです。

しかし、弊社ではそういうことは起こりません。発言を阻害する要因を徹底的に取り除いているからです。改善のための社内チャット上のチャンネルや、日報でCS一人ひとりが常に意見を出せるといった、業務で感じた問題意識を発信する環境を整えています。

そうしたチャットや日報は、経営陣をはじめ、エンジニアやプロデューサーも目を通しているので、CSの誰かが議題を上げたら各メンバーが即座に把握し、すぐに改善がスタートするという文化があります。

──もし可能でしたら、CSからの提案で改善された具体例を教えてもらえますか?

菅野:「あんしん・あんぜん宣言」の中の「メルカリからお客さまへの補償の体制」は、CSメンバーからの提案で実現しました。これまでトラブルがあった場合、お客さま同士の話し合いで解決いただくことが少なくありませんでした。しかし、それでは解決しきれないこともあり、お客さまにネガティブな体験をさせてしまっていたことがありました。

そうした事情を誰よりも知っていたCSメンバーから「メルカリでできることがあれば、積極的に介入し、解決していきたい」と提案がありました。その提案から「あんしん・あんぜん宣言」の運用が大きく変わるまで、わずか数日というスピードで構築まで実現しました。

──その事例のように、CSの意見を尊重するという文化は、いつからあるのでしょうか?

鈴木:創業当初は、経営陣やプロダクトをつくるメンバーが直接お客さまからの問い合わせに対応をしていた時期もあったので、そのころの経験が大きいと思います。

メルカリのサービスは基本的に個人間での取引になりますから、そのときの体験がそのままサービスのイメージにも繋がっていきます。その体験を、より良いものにしていこうという考えが、経営陣を中心にサービスができて間もないころから強くあったこと、またその考えに共感するメンバーが集まっていったことで、いまのCSを重要視する文化ができたのだと思います。

いまでもお客さまの声を聞いてすぐに改善に繋げようという意識が、経営陣から社員に至るまで全員に浸透しています。

また、開発に携わるメンバーは入社後必ずCSの実務を経験する、ということも大きいと感じています。エンジニアやプロデューサー、USやUKに赴任するメンバーも全員が実際の業務に携わります。

CSに限らない、メルカリ流「急がば回れ」の採用ブランディング

「Drink meetup with mercari」の様子

「Drink meetup with mercari」の様子

──すごいですね……そのような素晴らしい、能動的なCSメンバーをどうやって採用しているのでしょうか?

鈴木:実は、CSならではという特別な採用方法があるというわけではないんです。というのも、どんな職種であってもメルカリの事業やミッション、バリューに共感してくれるメンバーに集まってもらいたいと思っているので、基本的に実施している施策は全職種で共通しています。

大きくは、採用広報とイベントなどを通じたコミュニティ作りによるブランディングです。この2本の柱を通じて、メルカリというサービスや、働く場所としてのメルカリの魅力を伝えていくことで、社員紹介や直接応募に繋げていきます。CSという職種だけで切り出しても、最近は半数近くが社員紹介や直接応募からの入社なんです。採用会食の利用も多く、例えばエンジニアからCSメンバーの紹介があったりと、職種を越えた紹介も増えてきていますね。

──その2本の柱についてお聞きしたいです。コミュニティ作りとはどういったことを行うのでしょうか?

鈴木:HRが主導で開催しているDrink meetup with mercariというイベントが主な取り組みのひとつです。毎回テーマを決めて、15名~20名程度の少人数、かつ頻度高く開催することや、かしこまりすぎない、緩い繋がりをつくることを意識したイベントにしています。こうしたイベントを通じて、メルカリについて知ってもらったり、メンバーと接点を持ってもらうことで、メルカリのファンを増やせたらと、約1年ほど前にはじめたイベントです。いまも月に数回の開催を続けています。

また最近では、CS JAMをはじめ、メンバーが自主的に企画運営している、採用目的ではない勉強会やイベントも全社的に増えてきていますね。CSならではという意味であえて言うのであれば、このコミュニティ作りの影響力が結果的に採用やブランディングへの影響が大きかったように思います。

──なぜ、CSではコミュニティ作りによるインパクトが大きかったのでしょうか?

菅野:これまで申し上げてきた通り、CSという仕事は、直接お客さまと接するため、サービスにおける問題点に気付いている人が多いんです。しかし、問題意識はあっても実際に改善に繋げるためにどう動けばいいかわからないというジレンマがあるのも事実。CSに携わる方自身が、「ウチの会社のCSって、ここまでしか求められていないのでは?という線引きを、勝手にしてしまっている」という話も聞きます。

だからこそ、少しお酒が入った場では、すごく会話が盛り上がって。こんな熱量を持ったCSのコミュニティはあまりなかったので、その点も効果的だったと思います。

──ニーズに対して、上手くハマったケースですね。CS JAMはどういうイベントなのでしょうか?

菅野:CS JAMは、パネルディスカッションとテーマに沿った形でワークショップを行って、グループで飲食をともにしながらコミュニケーションを取るというイベントです。

鈴木:Drink meetupでもCSをテーマにした回をいまから1年前にはじめて開催したのですが、当時もCSの回はほかの回と比較しても特に熱量が高かったのが印象的で……そのときにCSに携わる人々のコミュニティへのニーズや可能性について手ごたえを感じましたね。CS JAMは、パネルディスカッションやワークショップなど、勉強的な要素が比較的強いイベントなのですが、これがCSという職種にはすごくマッチしていて、毎回盛り上がっているんです。

イベントの実施は、一回やってすぐに効果が出るものというよりは、続けていく延長線上でブランディングに繋がっていったり、メルカリに関心を持ってもらえる人が増えればいいなと思って取り組んでいます。それに、CS JAMのような個人やチーム発信による取り組みは、業界の活性化やメンバー個々の発信力の向上という点だけでなく、メルカリの魅力を伝えていくことにも自然と繋がっていくと思っています。

なので採用目的ではなくても、会社としてこうした取り組みを全面的に応援していく体制を整えることで、自然とメンバー発信のイベントが増え、その分どんどん新しい繋がりが生まれていくという流れは今後も作っていきたいですね。直接的ではないにせよ、ジワジワと採用にも効いていると思います。

「CS JAM」の様子

「CS JAM」の様子

──最後に御社の採用ブランディングについてもお聞きしたいです。継続的なコミュニティづくりと同様、真摯に対応されているイメージがあります。

鈴木:ありがたいことに、メディアに取材していただく機会も多かったりするのですが、そういったメディアの露出や会社の大きな発表に合わせて、関連するテーマのDrink meetupを開催したり、Wantedlyの募集をつくって公開するなど、採用に関する発信のタイミングやストーリー性はかなり意識しています。

最近では、メルカンというメルカリの情報を集めたコンテンツプラットフォームを立ち上げて、自分たちでコンテンツを作って発信していくという取り組みもはじめました。イベントも、募集をつくることも、インタビューなどのメディア発信をしていくことも、その一つひとつを地道にやり続けることで、広く、効果的に候補者となり得る方にメッセージを届けることができるようになります。

実際、イベントや記事をきっかけに応募いただくケースも出ていますし、CSだけで見ても、ここ半年、特に社員紹介やHPからの直接応募経由での入社が増えています。

すぐに採用に繋がらないとしても、コツコツと地道に続けることで採用にも効いてくるということが、実感としても数字としても成果が出ているので、今後も意識して続けていきたいと思っています。CSで言えば、仙台にも拠点があるので、地域性を活かして行政や学校との連携などへも積極的に取り組んでいきたいですね。

──急がば回れ、ということですね。メルカリがどうやって優れた人材を採用しているのか、よく理解できました。本日はありがとうございました!

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