社員の仲がいいから、仕事が回る!ピクシブが進める「優しい人」採用戦略のメリット(前編)

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2007年にイラストに特化したSNSサービス「pixiv」を開始し、現在は世界220カ国、1800万人の会員数になるまで急成長を遂げてきたピクシブ株式会社

ピクシブはイラストだけに留まらず、今や小説・マンガ・音楽など、「創作活動が楽しくなる場所」を目指し、ユーザーがあらゆる形で作品を公開するプラットフォームとして、日本だけでなく、海外からも人気を博しています。

その成長の秘密は社員の「仲の良さ」にあるとか。執行役員で人事担当の丸山大輔さんに、なぜ採用で「仲の良さ」を重視するのかをお聞きしました。

イラストコミュニケーションサービス「pixiv」

イラストコミュニケーションサービス「pixiv

経験やスキルより大切なのが、「この人と働きたい」という感覚

—片桐社長が以前「ほとんどの仕事はうまくいかないから、友達と起業した方がいい」とおっしゃっていました。そのような働く上で「仲の良さ」を大切にする考え方は、実際の採用基準において重視しているのでしょうか?

丸山:そうですね。「この人と一緒に働きたい」と思う人を採用するという点は、採用チーム全体で共有していることです。人柄はとても重視しています。

—「この人と一緒に働きたい」というのは、感覚的なものなのでしょうか? それとも何か基準があるのでしょうか?

丸山:求めている経験やスキルなど、採用における基準があるので、原則それに従って評価します。ただ、最終的には「自分のチームで一緒にやっていけるか」という問いを自分自身に投げかけて判断を下しています。

—面接という短い期間で「自分のチームで一緒にやっていけるか」という問いに答えを出せるのでしょうか?

丸山:もちろん、面接だけでは人柄が合うかどうかを見極めるのは難しいでしょう。ですから新卒採用に関しては、必ずインターンシップをやってもらっています。

1次・2次面接をパスした学生には、3次選考として5日間のインターンシップを用意しています。平日の5日間会社に来てもらって、実際の業務に携わってもらい、その中で人となりを見るようにしています。

これは私たち面接官が学生を見るための5日間ではありますが、逆に学生が私たちの会社を見る5日間でもあります。5日間、各自の仕事をしつつ、会議やランチなど社員と共に行動することで、学生もネットや面接では見えない、会社の気質や雰囲気を知ることができます。

入社してから「こんなはずじゃなかったのに……」「面接官は優しかったのに、入社したら全然違う……」という学生側のミスマッチを防ぐという意味合いでも、この5日間のインターンシップをやってもらっています。

ちなみに、インターンシップには学生1人につき社員が1名メンターとして付きます。正直、コストはかかってしまうのですが、それでもやる価値があると思っています。

—実際に働いてみなければわからないことってありますよね。

丸山:先ほども挙げましたが、この期間を通じてお互いの理解をより深めることができます。私たちは特に人柄を重視しているので、この方法はとても有効です。

学生一人ひとり仕事への取り組み方や姿勢は違っていますが、そうした様子を見ているとピクシブへの想いも伝わってきますね。5日間一緒に行動をともにすることで、自分でなんとかするタイプの子なんだなとか、基本的には受け身だけどきちんと仕事を全うするタイプなんだなとか、面接では分からなかった性格や行動パターンがわかったりします。

私たちの仕事は基本的にチームで動いているので、その中で建設的な意見が言えるかどうかは、非常に重要ですね。

—中途採用でも同じような採用手法なのでしょうか?

丸山:基本的には同じです。ただ中途ではインターンシップがなく、面接のみですが、基本的に採用基準は変わりません。いくらスキルや経験がある方でも、合わないなと思ったら残念ながら不採用になってしまうことはあります。

ピクシブでは人の意見を否定しない

—「合う」「合わない」を決める要素とは、具体的に何でしょうか?

丸山:社長の片桐をはじめ、私たちはその要素を「優しい人」と呼んでいます。それはズバリ「寛容性」がある人ということです。

例えば、チームで話をするという時に、チームのメンバーが的外れな意見を言ったとします。それに対して他のメンバーに「何言ってんだ」みたいな感じで怒られたら、もう次の意見を言えなくなってしまいますよね。そういう雰囲気になるのは良い組織とは言えません。

的外れな意見を言っている人に対しても、「だったら、こういう意見の方が良いんじゃない?」と相手を否定するのではなく、そこから発展させてもっと良い意見を出せるようにしようという、建設的に自分の考えを提案できる人がいいですね。

—具体的に、社員はどういう方がいるのでしょうか?

丸山:基本的に穏やかな人が多いです。そのためか、社員同士の仲がいいですね。私自身、転職してここが3社目ですけども、社員同士の仲の良さは、ピクシブが圧倒的です。

「仲の良さ」の秘訣は、人柄のフィットと社内コミュニケーションの活性化

—なぜ、社員同士の仲が良いのでしょうか?

丸山:理由は2つあると考えています。1つめは入社の面接時に人柄をよく見るというところ。これはこれまでお話してきた通りですね。

そして2つめは、入社後の社員のコミュニケーションです。コミュニケーションを取るための仕組み作りには特に気をつけています。例えばこのオフィス。このオフィスはコミュニケーションを活性化することを目的に設計されました。実は弊社では、全長250mもある大きなひとつの机を使っているんです。

このオフィスを活かして、毎週水曜日には100名以上の社員が一緒にここでお弁当を食べる「ランチ会」を創業当初から実施しています。お弁当は会社で用意します。社員旅行もやりますし、季節ごとのイベントもやりますよ。

また、自分が所属していないプロジェクトが何をやっているかよくわからない、という状況をつくらないために、プロジェクト間での情報の共有にも気をつかっています。具体的には、各プロジェクトでの成功事例、失敗事例を共有し合う会を実施しています。

こういう取り組みを行うことで、お互い協力し合う関係が生まれます。デモ版の使用はプロジェクトを超えて、皆でチェックし合い、意見を言い合っています。

—なぜ、ここまで社員同士の仲の良さを重視するのでしょうか?

丸山:これは社長の片桐が常に言っていることなのですが、いまやインターネットが普及し、ものづくりは制作から発表まで、ほとんど一人でできるようになりました。その中でピクシブが生き残っていくためには、チームでものを生み出して個人では作れないものを作っていくことが必要だと考えています。

そのためにできることは、採用での人選からオフィス作りといった環境作り、その後のコミュニケーションを円滑にするためのイベント作りなど、なんでもしていきます。一人ひとりの個性は違っても、皆が同じ方向を向いて仕事をすることで、何か大きなことを成し遂げられると思うんです。

▼後編はこちら
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